番外編

 2009年4月〜2009年7月

 2016年9月

 掲載

2009年

4月

20日

番外編

2009年4月20日

 当院に今月から入社した社員(20才)の作文をご紹介します。  
少し長いですが、全文を掲載します。

-----ーー---医療の現場で働き始めて-------------

 社会人になり、医療の現場で働き始めてから、学生の頃とは違う勉強をしなくてはならないのだと思うようになりました。提示された課題をこなすだけではなく、自分で目標を立てて行動することの大切さや、ニュースを見るときに情報を吸収するだけではなく、知り得た情報を自分で整理して考えるように意識するようになりました。
 後期高齢者医療制度について学校で講義を受けましたが、ノートをとって筆記試験を受けるだけで、後期高齢者医療制度について深く考えることがありませんでした。しかし、窓口で会う患者さんの中には後期高齢者の方も多く、医療従事者として、しっかりと医療制度について自分の考えを持たなくてはいけないと思うようになりました。

与党の高齢者医療制度見直し案に、75歳以上でも会社勤務を続けている人は健康保険組合などに残留できるよう来年度の法改正を目指し検討するとありまし たが、そうなると後期高齢者医療制度を制定する必要があったのかと疑問に思いました。それならば、後期高齢者医療制度などつくらずに、老人保健制度のまま で良かったのではないかと思いました。来年度の法改正を目指し検討するとした内容には「後期高齢者」の名称の変更もありました。後期高齢者医療制度ができ たときから「長寿医療制度」に名称を変更する方針がでていました。しかし、メディア等では後期高齢者医療制度の名称が使われていて、公的にも「長寿医療制 度(後期高齢者医療制度)」と表記し、中途半端な状態でした。これは制度ができたときからの問題であるにもかかわらず、来年度の法改正を目指し検討とは先 延ばしにしていると感じました。
 私が後期高齢者医療制度で一番疑問に思っている部分が「75歳以上」という年齢区分です。75歳でも元気に働いている方もいらっしゃるので、年齢で区切 りをつけるというのはおかしいと思います。見直し案では後期高齢者の「75歳以上」という年齢区分については将来的な検討課題になる見通しとなっていまし た。これもまた、名称変更の問題と同じ様に先延ばしにされていると思いました。 多くの国民に関わる制度であり、簡単に決断できないと思いますが、先延ば しにする問題が多過ぎる為に前に進む事ができなくなってしまうのではないかと思います。
 また、私は患者さんと会話をする際、言葉遣いに気をつけることは学校でも学んだので意識をしていました。しかし、働き始めて患者さんと接する中で、すべ ての患者さんに同じように話すのではなく、相手が一番分かりやすい言葉を使うこと、聞き取りやすい声のトーンで話すことを特に意識するようになりました。
 学生の頃は自分のために勉強をしたり、おしゃれをしたり、アルバイトをしていましたが、社会人になってからは自分のためだけではなく、患者さんのために 勉強をしたり、身だしなみに気を配ったり、仕事を覚えるべきだと思うようになりました。私が働き始めてすぐに患者さんから名前を尋ねられたとき、とても嬉 しく思いました。この出来事で挨拶をするときに患者さんの名前を呼ぶことの大切さを実感しました。
 まだ不慣れなことが多く毎日緊張していますが、慌てずにひとつひとつ落ち着いて行動し、少しずつでも確実に仕事を覚えて、患者さんの「ありがとう」を、 自信を持って受け取れるように頑張りたいと思います。また、勉強不足なことが多いので、今後しっかりと勉強をして自分の考えや意見を、自信をもって言える ようになりたいと思います。
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 私は、当院で働く者は皆、日々、医療という社会活動を行っているのだから、常に社会の動きに関心を持ち、政治・経済のニュースを自分に関連づけて考察す るように指導しています。身だしなみや言葉遣いについても、独りよがりを避け、患者さんに不快感を与えない服装や、理解しやすい説明を心がけるよう、うる さく注意しています。
弱冠二十歳の若者が入社早々に私の考えを理解し、実行に移し、正しい日本語で記述してくれている事を非常に嬉しく思い、皆様にご紹介させて頂きました。

2009年

5月

26日

新型インフルエンザ

2009年5月26日

「新型インフルエンザ」が日本中を席巻しています。分かり易く解説します。

1.「新型インフルエンザ」が何故これほどまでに大騒ぎされているのでしょうか?

 インフルエンザウィルスにはA型、B型、C型の3種類があります。そして、ウィルスの表面には2種類の抗原があります。これがHとNの2つです。
A 型ウィルスのHにはH1からH16までの16種類が、NにはN1からN9までの9種類があります。従って、A型インフルエンザには16×9の144種類の亜型が存在する事になります。B型ウィルスはヒトだけに感染しますが、A型ウィルスはヒト以外に、鳥、豚、馬に感染します。特に鳥には144種類全てのA 型ウィルスが確認されています。これまで、ヒトからヒトへの感染が認められたA型ウィルスはH1N1、H1N2、H2N2、H3N2の4種類だけでした。

かつては豚から豚への感染しか見られなかったA型H1N1ウィルスが、今回、豚からヒトへ、そしてヒトからヒトへ感染するようになったため、「新型イン フルエンザ」と呼ばれているのです。過去にヒトへ感染した事がなかったウィルスが、今回初めてヒトからヒトへ感染するように変異したため、基本的に世界中 の誰もこのウィルスに対して免疫がありません。そのため、感染力が極めて強いと考えられる訳です。不幸中の幸いな事に、現時点では、弱毒性で季節性インフ ルエンザと同様程度の症状・予後である事が明らかになりました。ただし、ヒトからヒトへ感染して行く過程で、弱毒から強毒へ変異する可能性もあるため恐れ られているのです。そうは言っても、弱毒性なのですから、市内一斉の休校や24時間態勢の「発熱外来」開設は、過剰反応だと思います。

 いわゆる「鳥インフルエンザ」は、鳥にしか存在しなかったA型H5N1で、鳥からヒトへの感染例が散見されるようになり、しかも強毒性なので、いずれヒ トからヒトに感染するようになったら大変だと言って騒がれているのです。今回流行している「新型インフルエンザ」はこの「鳥インフルエンザ」ではなく、 「豚インフルエンザ」です。

2.マスクの効用について
これは、インフルエンザウィルスの感染経路を考えれば、理解し易いです。

①飛沫感染
 患者のくしゃみや咳によって、ウィルスを含んだ分泌物の小粒子が飛び散ります。
この小粒子を飛沫といい、その数は、1回のくしゃみで約200万個、咳で約10万個と言われます。どんなに頑張っても2メートル以上は飛ばないので、これ以上離れていれば感染しません。また、患者がいなくなった部屋では飛沫感染は起こりません。

②空気感染
 飛沫から水分が蒸発した後の微小な粒子(飛沫核)が長い間空中に浮遊するために、感染者と同じ空間にいる人がウイルスを吸入することによって起こる感染 です。狭い気密な部屋では粒子が比較的長く浮遊します。空気が乾燥していると、ウイルスはより長く感染性を保ち続けます。患者がいなくなった部屋でも感染 します。麻疹、水痘、結核等はこのタイプの感染が多いと考えられています。

③接触感染
 飛沫に汚染された物などに触れて、ウイルスが手に付着し、その手を鼻、口に無意識に持って行く事により、粘膜からウイルスが侵入します。

 インフルエンザウィルスの感染は①と③が大部分で、②はほとんど無いと考えられています。従って、マスクの効用の大部分は患者が咳・くしゃみで周囲の人 に鼻汁・唾液をまき散らすのを防ぐ事にあります。予防の効果は、患者の正面に対座して会話する時に、自分の顔に患者の鼻汁・唾液が飛んで付着するのを防ぐ という限定的なものと考えるべきです。当院では、咳をしている患者さんが来院した際には、患者さんがマスクを装着したまま受付します。そして、診察の際も 装着したままとし、喉の診察時だけ外して頂き、医師・看護婦はその時だけマスクを装着する事にしています。

3.今月、日本感染症学会が発表した緊急提言では、次のように書かれています。
① 過去のどの新型インフルエンザ(スペイン風邪、アジア風邪、香港風邪)でも、出現して1~2年以内に25~50%、数年以内にはほぼ全ての国民が感染し、 以後は通常の季節性インフルエンザになっていきました。今回の「新型インフルエンザ」も、やがてはA型インフルエンザの亜型として、10年から数10年間 は流行を繰り返すと見込まれます。すなわち、今回の「新型インフルエンザ」の罹患を避ける事は困難です。

②「新型インフルエンザ」の潜伏期は1~5日と短く、発熱・発症前から感染性を持つため、封じ込めは困難です。厚生労働省は各自治体に対して「発熱相談セ ンター」の設置や「発熱外来」の設置を行って蔓延拡大を防止しようとしていますが、これは流行初期の水際対策としては有効ですが、患者が多数発生すれば、 もはや「発熱外来」だけでは対応しきれず、欧米では「発熱外来」を設置する動きは見られません。

③今回の「新型インフルエンザ」は軽症例が多く、死亡例のほとんどは細菌性肺炎の併発例です。

4.既に関西だけではなく関東にも次々と患者は発見されており、当然、藤沢市にも感染は拡大していると考えるべきです。今は、もう、水際作戦などやってい る時期ではなく、感染拡大期なのです。皆さんの誰もが「新型インフルエンザ」に罹患する可能性があります。38℃以上の高熱や咳等の症状がある方は、躊躇 せず医療機関を受診して下さい。そして、ウィルスの簡易検査を受けて下さい(ただし、検査キットは全国的に品不足です。当院でも残り数10人分の在庫しか 有りません)。ウィルス陽性の場合でも速やかに治療開始すれば治ります。何よりも重要な事は、唯一の致死的合併症である肺炎を早期発見・早期治療する事で す。肺炎の原因菌の多くは「肺炎球菌」です。「新型インフルエンザ」のワクチンは目下開発中ですが、「肺炎球菌」のワクチンは既に販売されています。「肺 炎球菌」肺炎は「肺炎球菌」ワクチンを接種する事により予防可能です。特に高齢者や糖尿病・喘息等の慢性疾患を有する未接種の方は、今すぐ接種をお勧めし ます。
もちろん、当院で接種出来ます。

2009年

7月

01日

「構造改革」路線にNo!の審判を下し、社会保障制度の充実を求めよう

2009年7月1日

 衆議院解散・総選挙がいよいよ目前に迫って来ました。
昨年9月に米国第4位の証券会社リーマン・ブラザースが破綻して以降、急速に加速した世界同時株安・景気後退に我が国も翻弄されています。私達の生活も大打撃を食らって右往左往している昨今、金融市場の危険性や、企業倫理の崩壊甚だしい市場に経済を委(ゆだ)ねる事の限界を痛感させられます。

2001年(平成13年)に誕生した小泉純一郎内閣は、「聖域無き構造改革」を華々しくアドバルーンとして掲げました。そして、この政策こそが労働環境を 厳しくし、社会保障制度を貧しくし、結果として我々の暮らしを悪化させたのです。小泉「構造改革」が始まって以来、この8年間に及ぶ政治経済の歪みは極限 に達しています。具体的に言うと、郵政民営化に続き、年金・医療・介護と、毎年のように国民に痛みを強いる政策が強行されたため、格差社会が拡大し、地方 経済が疲弊しました。その結果、国民の怒りが爆発し、一昨年(2007年)の参議院選挙では与野党逆転が実現したのです。その間、安倍晋三・福田康夫の2 代連続で、内閣総理大臣が在任1年経たないうちに職を投げ出してしまうという大失態が生じました。そして、自民・公明連立政権は既に行き詰まっているにも かかわらず、この事実を認めようとしないばかりか国民の怒りを無視して、3代連続の「国民の信を問わない」内閣総理大臣を創出したのです。それが、昨年に 行われた茶番劇の自民党総裁選挙で台本通り選出された麻生太郎総理大臣です。麻生総理は就任演説で「構造改革」路線転換を表明したにもかかわらず、今もな お相変わらず医療崩壊・介護崩壊を放置しており、言葉とは裏腹に「構造改革」路線を踏襲しています。

 ここで、「構造改革」とは何だったのか、検証してみましょう。
1990 年代半ば、バブル破裂後の不景気が長引く中で、商売をしてもあまり儲からないから企業が活力を失っている、企業が儲かるような構造に日本経済を変えていく べきだという考え方が出てきました。これが「構造改革」です。2001年(平成13年)に誕生した小泉内閣は、この「構造改革」政策を次々と実行しまし た。
 「構造改革」の目玉として行われたのが「規制緩和」です。これは、1999年(平成11年)に米国が日本政府に対して「規制改革要望書」を突きつけてき たのが、そもそもの動機です。この要望書は8つの分野で規制改革を求めていますが、とりわけ医療については「医療経営への株式会社参入」をあからさまに求 めています。米国は自国の企業が日本の医療市場に参入出来るように規制を緩和しろと要求してきたのです。これに便乗したのが、医療を市場として金儲けの対 象にしようと狙っていた日本の大企業です。
とは言っても、現行の低診療報酬の枠内で経営を行っても金儲けにはなりません。
そこで、米国企業や日本の大企業は、株式会社が医療で儲けるために、公的医療保険を縮小し、自由診療部門を拡大する「混合診療」を全面的に解禁する政策を 政府に迫ったのです。小泉内閣が設置した「総合規制改革会議」には、議長を務める宮内義彦氏が率いるオリックスを始め、そうそうたる大企業の幹部達が名を 連ねています。彼らは、小泉内閣の「小さな政府」「官から民へ」のかけ声の下で、企業の商売の場を増やすために、強力に「株式会社参入」「混合診療」等を 打ち出し、公的医療保険の給付範囲の限定・縮小化を進めたのです。

                            次号に続く

インフルエンザ予防接種の予診票は当院受付にてお配りしている他、本サイトからもダウンロードできます。予め記入後お持ち下さい。

  ただし、「65歳以上の藤沢市民」は、当院にて専用の予診票に記入して頂きますので、ダウンロードは不要です。

お知らせ

令和6年4月以降、発熱など風邪症状がある方も、電話連絡等は不要となりました。

令和6年3月14日(木)、21日(木)、28日(木)の各木曜日休診します。

4月以降も、毎週木曜日休診します。

3月7日(木)臨時休診します。

2月28日(水)から3月5日(火)まで臨時休診します。3月6日(水)から診療再開します。

令和6年4月より、毎週木曜日、休診します。

1月25日(木)は通常通り診療します。

2月1日(木)は急用のため、休診いたします。

急用のため、1月18日(木)休診いたします。

 

急用のため、1月11日(木)休診いたします。

 

令和5年12月29日より翌1月3日まで休診します。ただし、1月2日は藤沢市休日当番医のため、午前9時から午後5時まで、急病・外傷患者さんの診療を行います。

8/11(金)から8/17(木)まで夏期休診させて頂きます。

新型コロナワクチンの3回目接種を来年1月18日から開始します。

市から接種券が届いたら、電話にて予約して下さい。藤沢市以外の方も予約できます。

TEL 0466-31-0840