2009年4月20日
当院に今月から入社した社員(20才)の作文をご紹介します。
少し長いですが、全文を掲載します。
-----ーー---医療の現場で働き始めて-------------
社会人になり、医療の現場で働き始めてから、学生の頃とは違う勉強をしなくてはならないのだと思うようになりました。提示された課題をこなすだけではなく、自分で目標を立てて行動することの大切さや、ニュースを見るときに情報を吸収するだけではなく、知り得た情報を自分で整理して考えるように意識するようになりました。
後期高齢者医療制度について学校で講義を受けましたが、ノートをとって筆記試験を受けるだけで、後期高齢者医療制度について深く考えることがありませんでした。しかし、窓口で会う患者さんの中には後期高齢者の方も多く、医療従事者として、しっかりと医療制度について自分の考えを持たなくてはいけないと思うようになりました。
与党の高齢者医療制度見直し案に、75歳以上でも会社勤務を続けている人は健康保険組合などに残留できるよう来年度の法改正を目指し検討するとありまし たが、そうなると後期高齢者医療制度を制定する必要があったのかと疑問に思いました。それならば、後期高齢者医療制度などつくらずに、老人保健制度のまま
で良かったのではないかと思いました。来年度の法改正を目指し検討するとした内容には「後期高齢者」の名称の変更もありました。後期高齢者医療制度ができ たときから「長寿医療制度」に名称を変更する方針がでていました。しかし、メディア等では後期高齢者医療制度の名称が使われていて、公的にも「長寿医療制
度(後期高齢者医療制度)」と表記し、中途半端な状態でした。これは制度ができたときからの問題であるにもかかわらず、来年度の法改正を目指し検討とは先 延ばしにしていると感じました。
私が後期高齢者医療制度で一番疑問に思っている部分が「75歳以上」という年齢区分です。75歳でも元気に働いている方もいらっしゃるので、年齢で区切 りをつけるというのはおかしいと思います。見直し案では後期高齢者の「75歳以上」という年齢区分については将来的な検討課題になる見通しとなっていまし
た。これもまた、名称変更の問題と同じ様に先延ばしにされていると思いました。 多くの国民に関わる制度であり、簡単に決断できないと思いますが、先延ば しにする問題が多過ぎる為に前に進む事ができなくなってしまうのではないかと思います。
また、私は患者さんと会話をする際、言葉遣いに気をつけることは学校でも学んだので意識をしていました。しかし、働き始めて患者さんと接する中で、すべ ての患者さんに同じように話すのではなく、相手が一番分かりやすい言葉を使うこと、聞き取りやすい声のトーンで話すことを特に意識するようになりました。
学生の頃は自分のために勉強をしたり、おしゃれをしたり、アルバイトをしていましたが、社会人になってからは自分のためだけではなく、患者さんのために 勉強をしたり、身だしなみに気を配ったり、仕事を覚えるべきだと思うようになりました。私が働き始めてすぐに患者さんから名前を尋ねられたとき、とても嬉
しく思いました。この出来事で挨拶をするときに患者さんの名前を呼ぶことの大切さを実感しました。
まだ不慣れなことが多く毎日緊張していますが、慌てずにひとつひとつ落ち着いて行動し、少しずつでも確実に仕事を覚えて、患者さんの「ありがとう」を、 自信を持って受け取れるように頑張りたいと思います。また、勉強不足なことが多いので、今後しっかりと勉強をして自分の考えや意見を、自信をもって言える ようになりたいと思います。
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私は、当院で働く者は皆、日々、医療という社会活動を行っているのだから、常に社会の動きに関心を持ち、政治・経済のニュースを自分に関連づけて考察す るように指導しています。身だしなみや言葉遣いについても、独りよがりを避け、患者さんに不快感を与えない服装や、理解しやすい説明を心がけるよう、うる さく注意しています。
弱冠二十歳の若者が入社早々に私の考えを理解し、実行に移し、正しい日本語で記述してくれている事を非常に嬉しく思い、皆様にご紹介させて頂きました。