医学の歴史を訪ねて 第42回 フィレンツェ編 その22

令和6年4月1日

 

ウッフィツィ美術館 

6.アリアドネ

 ギリシャ神話には、次のような話があります。

全能の神ゼウスの子ミノスが、クレタ島の王様になりたいと思いました。

ミノスは「自分が王になるのが神の意志」であることを示すため、海神ポセイドンに頼み、後で返す約束で、海から生まれた雄牛を貰(もら)いました。

ミノスは海神から貰った雄牛を人々に見せて、「自分は神から王として認められた」と主張し、政敵を押さえてクレタ島の王となりました。

 しかし、その後、ミノスはこの雄牛があまりに美しいため、海神ポセイドンに返すのが惜しくなり、隠してしまいました。

ミノスの約束違反に怒ったポセイドンは、罰として、ミノスの妃パシファエをこの雄牛への邪恋(じゃれん)に狂わせるように、仕向けました。

雄牛に恋した王妃パシファエは、雄牛と交わり、「頭が牛・身体が人間(牛頭人身)」の怪物ミノタウロス(「ミノスの牛」という意味)を産みました。

 ミノタウロスは成長するにつれて乱暴になり、手に負えなくなりました。

そこで、ミノスは、この怪物を迷宮ラビリントス"Labyrinthos"(クノッソス宮殿)に閉じ込め、属国のアテナイ(アテネ)から送られてくる少年少女を餌(えさ)として与えました。

この迷宮ラビリントスは、入ったら2度と出られないと言われていました。

 アテナイの英雄テセウスは自ら志願し、ミノタウロスの餌食(えじき)としてラビリントスに侵入しました。この際に、テセウスを手引きしたのが、ミノス王の娘 アリアドネです。

テセウスに恋したアリアドネは、テセウスに糸の玉を渡し、糸の端を迷宮の扉に結び付けました。糸をほぐしながら迷宮を進んだテセウスは、怪物ミノタウロスを退治した後、糸をたどりながら来た道を戻りました。

 この神話が元になり、迷宮を表す紋様(もんよう)は「苦難の旅」の象徴となり、難問解決の手段を「アリアドネの糸」と呼ぶようになったのです。

解決しない難事件が「迷宮入り」と言われるのも、この神話に基づきます。

また、古代のクレタ島では、実際に人間と牛が交わる()という儀式があったそうです。

 迷宮ラビリントスを脱出したテセウスは、アリアドネを連れて船でアテナイへの帰国の途につきました。その途中、一行はナクソス島に寄港しました。

 ところが、この島では、眠っているアリアドネを、酒の神ディオニュソス(バッカス)が連れ去ってしまいました。ディオニュソスは彼女に金の冠を与えました。

その冠は、後に星座「かんむり座」となりました。

 アリアドネを失い悲嘆にくれたテセウスは、クレタ島への出発前にアテナイの王である父アイゲウス"Aegius"と、「生きて帰れた時は船の帆を黒から白に張り替える」と約束していたことを忘れてしまいました。

息子の生還を待ちわびていたアイゲウスは、黒い帆を見て息子が死んだと思い、絶望のあまり、海に身を投げて死にました。その海は、「アイゲウスの海」という意味の「エーゲ海」"Aegean Sea"と呼ばれるようになりました。

 耳の奥の内耳は聴覚と平衡感覚を司(つかさど)る重要な器官ですが、その解剖学的構造が甚(はなは)だ複雑なため、「迷路」"Labyrinth"(ラビリンス)と呼ばれます。

迷宮ラビリントスに因(ちな)みます。 

 インフルエンザ予防接種の予診票は当院受付にてお配りしている他、本サイトからもダウンロードできます。予め記入後お持ち下さい。

  ただし、「65歳以上の藤沢市民」は、インフルエンザ・コロナワクチン共に、当院にて専用の予診票に記入して頂く必要があります。ダウンロードはできません。

お知らせ

8月13日(火)、14日(水)、15日(木)の3日間、夏期休診させて頂きます。

Message from the Directorを更新しました(Jul 1, 2024)。 

令和6年4月以降、発熱など風邪症状がある方も、電話連絡等は不要となりました。

令和6年3月14日(木)、21日(木)、28日(木)の各木曜日休診します。

4月以降も、毎週木曜日休診します。

3月7日(木)臨時休診します。

2月28日(水)から3月5日(火)まで臨時休診します。3月6日(水)から診療再開します。

令和6年4月より、毎週木曜日、休診します。

1月25日(木)は通常通り診療します。

2月1日(木)は急用のため、休診いたします。

急用のため、1月18日(木)休診いたします。

 

急用のため、1月11日(木)休診いたします。

 

令和5年12月29日より翌1月3日まで休診します。ただし、1月2日は藤沢市休日当番医のため、午前9時から午後5時まで、急病・外傷患者さんの診療を行います。