新型インフルエンザ

2009年5月26日

「新型インフルエンザ」が日本中を席巻しています。分かり易く解説します。

1.「新型インフルエンザ」が何故これほどまでに大騒ぎされているのでしょうか?

 インフルエンザウィルスにはA型、B型、C型の3種類があります。そして、ウィルスの表面には2種類の抗原があります。これがHとNの2つです。
A 型ウィルスのHにはH1からH16までの16種類が、NにはN1からN9までの9種類があります。従って、A型インフルエンザには16×9の144種類の亜型が存在する事になります。B型ウィルスはヒトだけに感染しますが、A型ウィルスはヒト以外に、鳥、豚、馬に感染します。特に鳥には144種類全てのA 型ウィルスが確認されています。これまで、ヒトからヒトへの感染が認められたA型ウィルスはH1N1、H1N2、H2N2、H3N2の4種類だけでした。

かつては豚から豚への感染しか見られなかったA型H1N1ウィルスが、今回、豚からヒトへ、そしてヒトからヒトへ感染するようになったため、「新型イン フルエンザ」と呼ばれているのです。過去にヒトへ感染した事がなかったウィルスが、今回初めてヒトからヒトへ感染するように変異したため、基本的に世界中 の誰もこのウィルスに対して免疫がありません。そのため、感染力が極めて強いと考えられる訳です。不幸中の幸いな事に、現時点では、弱毒性で季節性インフ ルエンザと同様程度の症状・予後である事が明らかになりました。ただし、ヒトからヒトへ感染して行く過程で、弱毒から強毒へ変異する可能性もあるため恐れ られているのです。そうは言っても、弱毒性なのですから、市内一斉の休校や24時間態勢の「発熱外来」開設は、過剰反応だと思います。

 いわゆる「鳥インフルエンザ」は、鳥にしか存在しなかったA型H5N1で、鳥からヒトへの感染例が散見されるようになり、しかも強毒性なので、いずれヒ トからヒトに感染するようになったら大変だと言って騒がれているのです。今回流行している「新型インフルエンザ」はこの「鳥インフルエンザ」ではなく、 「豚インフルエンザ」です。

2.マスクの効用について
これは、インフルエンザウィルスの感染経路を考えれば、理解し易いです。

①飛沫感染
 患者のくしゃみや咳によって、ウィルスを含んだ分泌物の小粒子が飛び散ります。
この小粒子を飛沫といい、その数は、1回のくしゃみで約200万個、咳で約10万個と言われます。どんなに頑張っても2メートル以上は飛ばないので、これ以上離れていれば感染しません。また、患者がいなくなった部屋では飛沫感染は起こりません。

②空気感染
 飛沫から水分が蒸発した後の微小な粒子(飛沫核)が長い間空中に浮遊するために、感染者と同じ空間にいる人がウイルスを吸入することによって起こる感染 です。狭い気密な部屋では粒子が比較的長く浮遊します。空気が乾燥していると、ウイルスはより長く感染性を保ち続けます。患者がいなくなった部屋でも感染 します。麻疹、水痘、結核等はこのタイプの感染が多いと考えられています。

③接触感染
 飛沫に汚染された物などに触れて、ウイルスが手に付着し、その手を鼻、口に無意識に持って行く事により、粘膜からウイルスが侵入します。

 インフルエンザウィルスの感染は①と③が大部分で、②はほとんど無いと考えられています。従って、マスクの効用の大部分は患者が咳・くしゃみで周囲の人 に鼻汁・唾液をまき散らすのを防ぐ事にあります。予防の効果は、患者の正面に対座して会話する時に、自分の顔に患者の鼻汁・唾液が飛んで付着するのを防ぐ という限定的なものと考えるべきです。当院では、咳をしている患者さんが来院した際には、患者さんがマスクを装着したまま受付します。そして、診察の際も 装着したままとし、喉の診察時だけ外して頂き、医師・看護婦はその時だけマスクを装着する事にしています。

3.今月、日本感染症学会が発表した緊急提言では、次のように書かれています。
① 過去のどの新型インフルエンザ(スペイン風邪、アジア風邪、香港風邪)でも、出現して1~2年以内に25~50%、数年以内にはほぼ全ての国民が感染し、 以後は通常の季節性インフルエンザになっていきました。今回の「新型インフルエンザ」も、やがてはA型インフルエンザの亜型として、10年から数10年間 は流行を繰り返すと見込まれます。すなわち、今回の「新型インフルエンザ」の罹患を避ける事は困難です。

②「新型インフルエンザ」の潜伏期は1~5日と短く、発熱・発症前から感染性を持つため、封じ込めは困難です。厚生労働省は各自治体に対して「発熱相談セ ンター」の設置や「発熱外来」の設置を行って蔓延拡大を防止しようとしていますが、これは流行初期の水際対策としては有効ですが、患者が多数発生すれば、 もはや「発熱外来」だけでは対応しきれず、欧米では「発熱外来」を設置する動きは見られません。

③今回の「新型インフルエンザ」は軽症例が多く、死亡例のほとんどは細菌性肺炎の併発例です。

4.既に関西だけではなく関東にも次々と患者は発見されており、当然、藤沢市にも感染は拡大していると考えるべきです。今は、もう、水際作戦などやってい る時期ではなく、感染拡大期なのです。皆さんの誰もが「新型インフルエンザ」に罹患する可能性があります。38℃以上の高熱や咳等の症状がある方は、躊躇 せず医療機関を受診して下さい。そして、ウィルスの簡易検査を受けて下さい(ただし、検査キットは全国的に品不足です。当院でも残り数10人分の在庫しか 有りません)。ウィルス陽性の場合でも速やかに治療開始すれば治ります。何よりも重要な事は、唯一の致死的合併症である肺炎を早期発見・早期治療する事で す。肺炎の原因菌の多くは「肺炎球菌」です。「新型インフルエンザ」のワクチンは目下開発中ですが、「肺炎球菌」のワクチンは既に販売されています。「肺 炎球菌」肺炎は「肺炎球菌」ワクチンを接種する事により予防可能です。特に高齢者や糖尿病・喘息等の慢性疾患を有する未接種の方は、今すぐ接種をお勧めし ます。
もちろん、当院で接種出来ます。

インフルエンザ予防接種の予診票は当院受付にてお配りしている他、本サイトからもダウンロードできます。予め記入後お持ち下さい。

  ただし、「65歳以上の藤沢市民」は、当院にて専用の予診票に記入して頂きますので、ダウンロードは不要です。

お知らせ

令和6年3月14日(木)、21日(木)、28日(木)の各木曜日休診します。

4月以降も、毎週木曜日休診します。

3月7日(木)臨時休診します。

2月28日(水)から3月5日(火)まで臨時休診します。3月6日(水)から診療再開します。

令和6年4月より、毎週木曜日、休診します。

1月25日(木)は通常通り診療します。

2月1日(木)は急用のため、休診いたします。

急用のため、1月18日(木)休診いたします。

 

急用のため、1月11日(木)休診いたします。

 

令和5年12月29日より翌1月3日まで休診します。ただし、1月2日は藤沢市休日当番医のため、午前9時から午後5時まで、急病・外傷患者さんの診療を行います。

8/11(金)から8/17(木)まで夏期休診させて頂きます。

新型コロナワクチンの3回目接種を来年1月18日から開始します。

市から接種券が届いたら、電話にて予約して下さい。藤沢市以外の方も予約できます。

TEL 0466-31-0840