医学の歴史を訪ねて 第43回 フィレンツェ編 その23

令和6年5月1日

 

ウッフィツィ美術館 

.ヒポクラテス

  ヒポクラテス(紀元前5世紀生まれ)は古代ギリシャの医師です。

エーゲ海のコス島に生まれ、ギリシャ神話の医神アスクレピオスを祀(まつ)ったアスクレピオン神殿で医学を学びました。

 ヒポクラテスの最も重要な功績は、医学を迷信や宗教から切り離し、臨床と観察を重んじる自然科学へと発展させたことです。

 彼は、病気が神や悪霊の仕業(しわざ)ではなく、血液・粘液・黄胆汁(おうたんじゅう)黒胆汁(こくたんじゅう)の4つの体液のアンバランスにより生じると考えました。

また、骨折した腕(うで)脚(あし)牽引(けんいん)脱臼(だっきゅう)の整復、出血をくい止める止血帯(しけつたい)の使用、心肺の聴診など、先進的な診断・治療を行いました。

 ヒポクラテスは、各地を旅し、医学を教え、診療を行いました。 

彼の教科書・講義録・随筆・メモなど70以上の文書が収められた「ヒポクラテス全集」が今日まで残っています。

古代ギリシャ語で書かれていますが、様々な文体が用いられており、著者はヒポクラテスだけでなく、彼の弟子達を含め、20人位いると考えられています。

 さらに、医師が守るべき規範と倫理について述べた「ヒポクラテスの誓い」は現代まで受け継がれ、医学教育の現場で引用されています。

彼は、「医師は身だしなみを整え、専門家であるべきだ。冷静、誠実、正直、率直な態度で患者に向き合わなければならない。師を尊(たっと)び、知識を他の者に伝えよ」と教えています。私も肝に銘じています。

 ヒポクラテスは、人間の置かれた環境(自然環境、政治的環境)が健康に及ぼす影響についても、先駆的(せんくてき)な研究をしました。

また、「人生は短く、医術の道は長い」という有名な言葉も残しています。

 これらヒポクラテスの功績は、古代ローマの医学者ガレノスを経(へ)て、今の西洋医学に継承(けいしょう)されています。

そのため、ヒポクラテスは「医学の父」、「医聖(いせい)」などと呼ばれます。

「ヒポクラテスの誓い」の主要な箇所(かしょ)抜粋(ばっすい)します。

  医神アポロン、アスクレピオス、ヒュギエイア、パナケイア、及び全ての神よ。私は、この誓約(せいやく)を守ることを誓(ちか)う。

アポロン:アスクレピオスの父親、ヒュギエイア:アスクレピオスの長女、パナケイア:アスクレピオスの次女)

  私は、患者に利(り)すると思う治療法を選択し、有害な方法を選択しない。

③求められても、死をもたらす薬を与えない。

④婦人に、流産をもたらす道具を与えない。

⑤どんな家を訪れる時も、病者の利益を目的とし、不適切な行為、特に男性や女性との性的関係を避ける。

⑥人々の生活について、恥となることを見たり聞いたりしても、他言(たごん)しない。

⑦この誓いを守り続ける限り、私は人生と医術を享受(きょうじゅ)し、全ての人から尊敬されるであろう。

しかし、誓いを破れば、反対の運命を賜(たまわ)るだろう。

  この中で、特に⑤は、いかにも古代ギリシャらしいですね。

私は医者になってから今日に至るまで、「往診先で性的関係」などという話は、見たことも聞いたこともありません。

 「ヒポクラテスの誓い」の倫理的精神を現代的に改定した「ジュネーブ宣言」が1948年、第2回世界医師会総会にて採択されました。

その後、5回の改定を経て、現在の版に至りました。

 抜粋します。

①生涯を人道のために捧げる。

②人道的立場にのっとり、医を実践する(道徳的・良識的配慮)。

③人命を最大限に尊重する(人命の尊重)。

 患者の健康を第一に考慮する。

 患者の秘密を厳守する(守秘(しゅひ)義務)。

⑥患者に対して偏見を持たず、差別しない(患者の非差別)。

  現在、日本を始め、多くの国で、この考え方が採用されています。

インフルエンザ予防接種の予診票は当院受付にてお配りしている他、本サイトからもダウンロードできます。予め記入後お持ち下さい。

  ただし、「65歳以上の藤沢市民」は、当院にて専用の予診票に記入して頂きますので、ダウンロードは不要です。

お知らせ

令和6年4月以降、発熱など風邪症状がある方も、電話連絡等は不要となりました。

令和6年3月14日(木)、21日(木)、28日(木)の各木曜日休診します。

4月以降も、毎週木曜日休診します。

3月7日(木)臨時休診します。

2月28日(水)から3月5日(火)まで臨時休診します。3月6日(水)から診療再開します。

令和6年4月より、毎週木曜日、休診します。

1月25日(木)は通常通り診療します。

2月1日(木)は急用のため、休診いたします。

急用のため、1月18日(木)休診いたします。

 

急用のため、1月11日(木)休診いたします。

 

令和5年12月29日より翌1月3日まで休診します。ただし、1月2日は藤沢市休日当番医のため、午前9時から午後5時まで、急病・外傷患者さんの診療を行います。

8/11(金)から8/17(木)まで夏期休診させて頂きます。