令和6年6月1日
ウッフィツィ美術館
7.ヒポクラテス 続き
「医学の父」だけあって、「ヒポクラテス」の名は医学用語に多く用いられています。
① ヒポクラテス顔貌(がんぼう)
目・頬は窪(くぼ)み、鼻はとがり、顔の皮膚は硬くて黒ずんでいます。
癌末期など、重態患者の顔貌です。
決して、ヒポクラテスのような顔つきという意味ではありません。
瀕死の患者さんの顔つきを、ヒポクラテスが初めて記録したため、こう呼ばれます。
②ヒポクラテス爪(つめ)
爪が大きくなり、丸く隆起した状態です。
ヒポクラテスが肺疾患との関係を最初に発見したため、こう呼ばれます。
時計皿(とけいざら)を逆さに伏せたような形状から、時計皿爪ともいいます。
手足の指先が太鼓ばちのように肥大する「ばち状指(し)」に伴います。
指の末端の軟部組織にムコ多糖類が沈着するために生じる、と考えられています。
肺癌・肺気腫・慢性気管支炎などの肺疾患だけでなく、心不全や肝硬変などでも見られます。
② ヒポクラテス法
ヒポクラテスが考案した、肩関節脱臼(「肩がはずれる」こと)や顎(がく)関節脱臼(「アゴがはずれる」こと)の整復法をヒポクラテス法と呼びます。