医学の歴史を訪ねて 第25回 フィレンツェ編 その5

令和4年11月1日

花の聖母(サンタ・マリア・デル・フィオーレ)大聖堂(ドゥオーモ)

 聖母マリアに捧げる教会がイタリアには約3,000ありますが、ここもその一つです。

フィレンツェの宗教の中心であり、フィレンツェの象徴です。

白、ピンク、緑の大理石が美しい幾何学模様を描いています。

圧倒感、均衡、優雅に満ちた、限りなくイタリア的なゴシック建築です。

 当時のフィレンツェの隆盛にふさわしく、「できる限り荘厳に、かつ豪勢である」ことを旨として、13世紀、アルノルフォ・ディ・カンビオによって建築が始められました。

フィリッポ・ブルネッレスキがクーポラ(円蓋(えんがい)、丸屋根、ドーム)を架け終わったのは15世紀です。

何と、200年の歳月をかけて建築された訳です。

3万人が一堂に会することができる大きさを誇ります。

  15世紀、フィレンツェでは街のシンボルとなるべき大聖堂にクーポラを架けるためのコンクールが開かれました。

 高さ50m、直径40mもある内陣(最も奥にある本堂)の上にクーポラを乗せる工事は極めて難しく、当時の技術では不可能と考えられていました。

 しかし、ブルネッレスキはローマでパンテオンなどの古代建築から学んだ技術を駆使(くし)して、この間題を解決しました。

すなわち、クーポラを二重構造にし、内側のクーポラで外側のクーポラを支えながら上へ上へと造っていくという方法です。

美しいカーブと見事な均整をもったクーポラが15年の歳月をかけて完成しました。

支柱なしに造られた世界最初のクーポラであり、建設当時は世界最大でした。

 ブルネッレスキは古代建築の技術で、実現不可能と思われた大クーポラを見事に造ってみせました。

まさしく、古典の再生「ルネッサンス」です。

ブルネッレスキがルネッサンスへの扉を開いた訳です。

 

 大聖堂付属の美術館には、13世紀の修道院で、ビンを掲げて尿検査をしている浮き彫り(レリーフ)があります。

修道僧たちは病人の尿を観察しました。

すなわち、その色、量、匂い、時には味(!)をみて、どんな病気を抱えているのかを推察し、薬草を調合したのです。

以降、尿を調べるフラスコが医療に携(たずさ)わる者のシンボルとなりました。

 私は舐(な)めたことはありませんが、確かに、糖尿病患者の尿は甘いのです。

糖尿病をラテン語でDiabetes Mellitus(ダイアベーテス・メリトゥス)と言いますが、Diabetesは「絶え間なく流れる水」、Mellitusは「蜂蜜(はちみつ)のように甘い」という意味で、結局、「甘い尿を絶え間なく放出する」状態が糖尿病なのです。

 ギリシャ神話で、全能の神ゼウスは赤ん坊の時、メリッサMelissaという女性から蜂蜜を与えられて育ちました。

この逸話から、ラテン語で蜂蜜のことをメラmella、蜂蜜のように甘いことをメリトゥスmellitusと呼ぶようになったのです。

 私は、改めて、医学とギリシャ神話が深く結びついていることに感動を覚えます。

 それと同時に、ヨーロッパ人が病態を語る際の、洒落(しゃれ)た感覚に脱帽します。 

インフルエンザ予防接種の予診票は当院受付にてお配りしている他、本サイトからもダウンロードできます。予め記入後お持ち下さい。

  ただし、「65歳以上の藤沢市民」は、当院にて専用の予診票に記入して頂きますので、ダウンロードは不要です。

お知らせ

令和6年4月以降、発熱など風邪症状がある方も、電話連絡等は不要となりました。

令和6年3月14日(木)、21日(木)、28日(木)の各木曜日休診します。

4月以降も、毎週木曜日休診します。

3月7日(木)臨時休診します。

2月28日(水)から3月5日(火)まで臨時休診します。3月6日(水)から診療再開します。

令和6年4月より、毎週木曜日、休診します。

1月25日(木)は通常通り診療します。

2月1日(木)は急用のため、休診いたします。

急用のため、1月18日(木)休診いたします。

 

急用のため、1月11日(木)休診いたします。

 

令和5年12月29日より翌1月3日まで休診します。ただし、1月2日は藤沢市休日当番医のため、午前9時から午後5時まで、急病・外傷患者さんの診療を行います。

8/11(金)から8/17(木)まで夏期休診させて頂きます。

新型コロナワクチンの3回目接種を来年1月18日から開始します。

市から接種券が届いたら、電話にて予約して下さい。藤沢市以外の方も予約できます。

TEL 0466-31-0840