日本からタバコを一掃しよう 第5回

平成29年8月1日

 

タバコが如何(いか)に有害であるか、続きを述べます。

 

2.ニコチン 続き

 

 私が中学生時代に愛読した、エラリー・クイーン作「Xの悲劇」でも、革手袋をはめた車掌(犯人)が市電の中で、針を刺したコルクを用いて人を殺害するシーンが描かれています。

針の先にはニコチンが塗ってあり、犯人は自分の手には刺さらないように革手袋をはめて、このニコチンボールを被害者のポケットに忍ばせたのです。

名探偵が、暑い夏に革手袋をはめていても怪しがられない人物は車掌だけだ、と推理して犯人を当てました。

ニコチンが如何に猛毒か、中学生の私にもよく理解できる話でした。

 

ニコチンは、ほぼ全ての生物に対して毒性を発揮するため、殺虫剤としても使用されています。

 また、ニコチン自体に発癌性はないものの、代謝物であるニトロソアミンに発癌性が確認されています。

  さらに恐ろしいのは、ニコチンがヘロイン・コカインと同程度の強い依存性を有する事です。

喫煙というやり方でニコチンを摂取すると、血中濃度上昇が速やかで、摂取から脳循環にいたる時間が短く、強い依存性が発現します。

タバコを吸うという行為が、ニコチン中毒患者を生産するのには最適の方法なのです!

 ニコチンの特徴は、最初に摂取した際には、ほとんど快感を感じない、という事です。

これは、ニコチンが他の依存性薬物と異なる点です。

ニコチンを反復摂取する事により、脳内報酬系の枯渇(身体的依存)が生じます。

こうして、初めて、ニコチン摂取により、快感を覚えるようになります。

脳内報酬系とは、脳において、欲求が満たされた時に活性化し、個体に快感を与える神経系の事です。

 すなわち、喫煙者が主観的に感じる、喫煙によるストレス緩和効果は、離脱(報酬系の枯渇)症状を緩和する効果でしかありません。

喫煙にストレス解消効果という「効用」など存在しないのです。

 有害物質摂取による害を否認し、その必要性を錯覚する病態を「心理的依存」と呼びます。

ニコチンは強固な心理的依存を誘発するのです。

「タバコを吸わないと、イライラして仕事の効率が落ちる」

「タバコを吸うとストレス解消になる」

という方が私の周りにも大勢います。

彼らは皆、ニコチンに対して心理的依存に陥っています。

これが、まさしくニコチン中毒です。

 

 ところが、ある高名な免疫学者が、著書の中で次のように述べています。

 

「タバコが自分にとって唯一の息抜きやストレス解消だという人は、自分の意志の弱さと戦ってまで無理に禁煙する必要はない」

 

 これは、ニコチンの心理的依存を肯定する暴言です。

彼は免疫学者としては立派な方です。

けれども、このように愚かな発言をするとは大変残念です。

自分の発言の影響がどれほど大きいか、よく考え猛省して頂きたいものです。

 

                                                             次号に続く

 

インフルエンザ予防接種の予診票は当院受付にてお配りしている他、本サイトからもダウンロードできます。予め記入後お持ち下さい。

  ただし、「65歳以上の藤沢市民」は、当院にて専用の予診票に記入して頂きますので、ダウンロードは不要です。

お知らせ

令和6年3月14日(木)、21日(木)、28日(木)の各木曜日休診します。

4月以降も、毎週木曜日休診します。

3月7日(木)臨時休診します。

2月28日(水)から3月5日(火)まで臨時休診します。3月6日(水)から診療再開します。

令和6年4月より、毎週木曜日、休診します。

1月25日(木)は通常通り診療します。

2月1日(木)は急用のため、休診いたします。

急用のため、1月18日(木)休診いたします。

 

急用のため、1月11日(木)休診いたします。

 

令和5年12月29日より翌1月3日まで休診します。ただし、1月2日は藤沢市休日当番医のため、午前9時から午後5時まで、急病・外傷患者さんの診療を行います。

8/11(金)から8/17(木)まで夏期休診させて頂きます。

新型コロナワクチンの3回目接種を来年1月18日から開始します。

市から接種券が届いたら、電話にて予約して下さい。藤沢市以外の方も予約できます。

TEL 0466-31-0840