TPPでどうなる? 日本の医療 第9回

平成25年3月1日

 

 先月行われた安倍首相とオバマ大統領の初の日米首脳会談で、両首脳はTPPに関して「全ての関税撤廃を約束するものではない」との共同声明を発表しました。

これにより、自民党政権は日本のTPP交渉参加へ向け大きく踏み出すことでしょう。

日本がTPPに参加すれば、アメリカが薬価制度廃止の次に要求してくると考えられるのが今回のテーマです。

2.株式会社(営利企業)の病院経営参入、混合診療の解禁

「院長から一言(昨年101日)」で述べたように、今までもアメリカは日本に対して何度も、営利企業の病院経営参入と混合診療の解禁を要求してきました。

小泉政権時代の2001年には、「年次改革要望書」で、病院や看護施設への民間企業参入を求めてきました。2004年には、「日米投資イニシャティブ報告書」で、混合診療全面解禁や医療への株式会社参入を求めてきました。

さらに、民主党政権下(オバマ政権誕生後)の2010年(鳩山内閣時代)には、「外国貿易障壁報告書」で、日本医療市場を外国企業に開放し、営利目的の病院が参入できるよう要求してきました。

 

 アメリカの要求を理解するためには、2つの事柄(ことがら)が分かっていなければなりません。

「混合診療とは何であるか?」と「非営利、公益を第一義とする日本の法制度」です。

 

 まず、混合診療について説明します。

混合診療とは、診療行為のある部分を医療保険の給付(原則7割)を受けて実施し、残りを全額患者負担で行うという、保険診療と保険外の自費診療とを混合した診療を言います。

 例えば、当院でAさんの胃癌の検査・診断を保険診療(患者負担3割)で行い、治療として保険未収載の制癌剤を全額自己負担で購入・内服させたとします。

この一連の診療行為が混合診療に当たります。

 現在の日本の健康保険法では、混合診療は禁止されています。

ですから、Aさんの胃癌を内視鏡で診断し、血液検査で腫瘍マーカーを測定した当院がAさんから検査・診断料の3割を頂き、支払機関に残りの7割を請求しても支払ってはもらえません。Aさんがどうしても保険未収載の制癌剤を内服したいと希望する場合には、Aさんは薬剤費だけでなく、検査・診断料も全額(10割)自己負担しなければなりません。

 医薬品が保険収載されるまでにはある程度の時間がかかります。これを待ちきれない患者さん達が存在するのは事実ですし、彼らが混合診療を認めろ(Aさんの場合は、検査・診断料の7割を支払機関が当院に支払え)と主張する気持ちは分かります。

 しかし、混合診療が日本で禁止されているのには、れっきとした理由があるのです。

その最大の理由は、混合診療を許してしまうと、医療や社会保障への予算配分を減額するのに躍起(やっき)になっている財務省・厚生労働省が、健康保険からの給付額を減らすために、新しい治療手技や医薬品の保険収載(公的医療保険に組み入れる事)を止(や)めてしまうためです。

普通のレントゲン検査までは健康保険で面倒見て(検査代の7割を払って)あげるけど、高額のMRI検査は自分で払って受けて下さいという世の中になってしまうのです。          

                                                 次号へ続く

インフルエンザ予防接種の予診票は当院受付にてお配りしている他、本サイトからもダウンロードできます。予め記入後お持ち下さい。

  ただし、「65歳以上の藤沢市民」は、当院にて専用の予診票に記入して頂きますので、ダウンロードは不要です。

お知らせ

令和6年4月以降、発熱など風邪症状がある方も、電話連絡等は不要となりました。

令和6年3月14日(木)、21日(木)、28日(木)の各木曜日休診します。

4月以降も、毎週木曜日休診します。

3月7日(木)臨時休診します。

2月28日(水)から3月5日(火)まで臨時休診します。3月6日(水)から診療再開します。

令和6年4月より、毎週木曜日、休診します。

1月25日(木)は通常通り診療します。

2月1日(木)は急用のため、休診いたします。

急用のため、1月18日(木)休診いたします。

 

急用のため、1月11日(木)休診いたします。

 

令和5年12月29日より翌1月3日まで休診します。ただし、1月2日は藤沢市休日当番医のため、午前9時から午後5時まで、急病・外傷患者さんの診療を行います。

8/11(金)から8/17(木)まで夏期休診させて頂きます。

新型コロナワクチンの3回目接種を来年1月18日から開始します。

市から接種券が届いたら、電話にて予約して下さい。藤沢市以外の方も予約できます。

TEL 0466-31-0840