Message from the Directorを更新しました(Jan 1,2025)。
Exploring the History of Medicine, Part 51: Florence, Part 31
生来、私はへそ曲がりで、人と同じ発言や行動をするのが嫌いです。
この場で、本音の発言をします。
世間一般の意見とは異なるかも知れませんが、私自身が正しいと信じる事しか書きません。
筆者に無断の転載や引用はご遠慮下さい。
2025年
10月
31日
金
令和7年11月1日
フォロ・ロマーノForo Romano(続き)
カエサル(ジュリアス・シーザーJulius Caesar)は紀元前44年に暗殺されました。
カエサルの遺体が火葬され、アントニウスが有名な追悼(ついとう)演説をした場所に、カエサルの甥(おい)で養子となったアウグストゥス(ローマ帝国初代皇帝)が「カエサルの神殿」を建てました。
イオニア式の柱が残っています。
カエサルの正式な名は「ガイウス・ユリウス・カエサルGaius Julius Caesar」といい、ユリウス氏族に属するカエサル家のガイウスという意味です。
ちなみに、氏族名のユリウスとはローマ神話の神ユピテル(ジュピター、ギリシャ神話では全能の神ゼウス)の子孫という意味です。
カエサルはローマ史上最も有名な将軍・政治家です。
「賽(さい)は投げられた」「来た、見た、勝った」「ブルータス、お前もか?」などの特徴的な引用句でも知られています。
古代ローマで最大の野心家で、終身独裁官(ディクタトルdictator)となりましたが、ブルータスらに殺されました。
「カエサルCaesar」は、カエサルの甥のアウグストゥス(初代ローマ皇帝)以降、ハドリアヌスまでの代々ローマ皇帝の称号となりました。
ドイツ皇帝Kaiser(カイザー)、ロシア皇帝czar(ツァーリ)の語源でもあります。
「帝王切開(英語:cesarean section(セサリアン セクション)、ドイツ語: Kaiserschnitt(カイザー シュニット))」は子宮切開によって胎児を取り出す手術です。
この呼称は、シーザーが母の子宮切開手術によって産まれた、との伝説に基づきます。
我々医者は「帝切(ていせつ)」「カイザー」などと呼びます。
日本語の「帝王切開」は、ドイツ語のKaiserschnittを翻訳したものです。
しかし、紀元前の医学では、母の腹部・子宮を切開して母子共に健康などということはあり得ません。
実際にカエサルが帝王切開で生まれた可能性は極めて低いのです。
カエサルの神殿の前には煤(すす)けた石板が立っています。
この広場にはいつも、このような白い石板が立っていました。
市民に公示する掲示板の役割を果たし、album(アルブム)と言われていました。
ラテン語でalbusは「白い」という意味です。
写真を貼る帳面もアルバムといいますが、白い紙を綴じた物だから、こう呼ぶのです。
このalb (alp)が付く、白い物は沢山あります。
教会でミサの際、司祭や信者が着る白衣もalbといいます。
Alps(アルプス)山脈、albatross (アルバトロス、アホウドリ)など、みんな白い物です。 医学の世界でも、albumin (アルブミン、タンパク質の一種)、linea alba (白線)、albino (白子)、albism (白皮症)、corpus albicans(卵巣の黄体が瘢痕化した白体)、Candida albicans(白色カンジダ)など、白い物ばかりです。
次号へ続く