院長から一言を、掲載順に(現在から過去に、1年分)並べてあります。

 

2019年

2月

02日

「徘徊(はいかい)」と呼んではいけないのか? 偽善の言葉狩り 第1回

平成31年2月1日

  

  今月から、差別用語の言い換えに潜(ひそ)む偽善について、私の考えを述べます。

 

 河島英五という音楽家をご存じでしょうか?

私の大好きなフォークシンガーで、代表曲は「酒と泪(なみだ)と男と女」(1975(昭和50年)発表)です。

私と同世代か、それ以上の団塊の世代には、今でもカラオケで歌う方も多いと思います。私もその一人です。

 私は大学生の時、河島英五のコンサートに2度行きました。

ギターをかき鳴らしながら、大声で11曲、魂(たましい)を込めて歌う姿は感動的でした。

レコード(CD)を聴けば分かりますが、歌は決して上手(じょうず)とは言えません。

ダミ声です。けれども、一生懸命歌うので、心に響きます。

思い切りギターを弾くため、歌っている最中にギターの弦が次々に切れていきます。

1曲終わると、6本の弦のうち1本しか残っていない事もありました。

 その河島英五の曲の中で私が「酒と泪と男と女」以上に好きなのが、「てんびんばかり」という曲です(「酒と泪と男と女」と同じ1975(昭和50年)発表)。

その歌詞に、次のような一節があります。

 

母親が赤ん坊を殺しても仕方のなかった時代なんて悲しいね。

母親が赤ん坊を殺したらキチガイと言われる今は平和な時。

 

 河島英五は2001(平成13年)に、まだ48才という若さで、肝硬変にて亡くなりました。彼の情熱的な歌を聴けなくなったのは大変残念です。

しかし、私には、彼の死以上に、悲しい事があります。

彼は、自ら作詞・作曲した「てんびんばかり」を、最後まで自分の歌詞通りに歌う事ができなかったのです。

 

 1993(平成5)発表のアルバム「河島英五 自選集」の中の「てんびんばかり」では、上記歌詞の「キチガイ」の部分を「オカシイ」という言葉に言い換えています。

2000年(平成12年)発表のアルバム「河島英五 ベスト撰集」の中の 「てんびんばかり」では、「キチガイ」が「ピー」という機械音にかき消されています。

私はこれを聞いた時、大変ショックを受けたものです。

そして、2001年(平成13年、死の直前)発表のアルバム「河島英五 LAST LIVE〜今日は本当にありがとう」の中の「てんびんばかり」では、「キチガイ」の部分を歌わずに、沈黙して空白を入れているのです。

 恐らく、これらの言い換え・音消し・沈黙は、「キチガイは差別用語だから、使うな」とのクレームを受けて、やむを得ず執(と)った措置なのでしょう。

 自分が作詞した通りに歌えなかった彼の心情は、察するに余りあります。

                                                                                          次号に続く

 

2018年

12月

29日

個人情報への過剰反応はやめましょう 第4回

平成31年1月1日

 

   明けましておめでとうございます。

 今年も本音の意見を述べます。

  

 既に述べたように、個人情報保護法は、高度情報通信(ITInformation Technology)の進展に伴って登場した法律です。

ITはコンピューターによる個人情報の流通を可能にしました。

すなわち、大量の個人情報を蓄積・管理・移動する事が可能になったのです。

ITによって個人情報が無制限に流通すれば、個人の権利・利益が著しく損なわれます。

そのような事態を防ぐために、事業者の個人情報取り扱い方法を定めたのが本法です。

 ところが、本法を本来の趣旨とは異なり、隠(かく)れ蓑(みの)として悪用している例が多発しています。

犯罪を犯して懲戒(ちょうかい)免職(めんしょく)処分を受けた国家公務員の氏名が、個人情報保護を理由に伏せられているのです。

また、各自治体でも、処分した地方公務員の氏名を公表しない例が増えています。

民間人が犯罪を起こせば、当然、氏名が公表されるにも拘(かか)わらず、犯罪を犯した公務員は、個人情報保護法を隠れ蓑に、氏名を秘匿(ひとく)しているのです。

これでは、個人情報保護法ではなく「公務員身内(みうち)保護法」です。

 具体例は枚挙(まいきょ)暇(いとま)がありませんが、ほんの一例をご紹介します。

平成258月、愛知県警第2交通機動隊の男性巡査長が計4回も下着泥棒を行い、懲戒処分を受けました。しかし、彼の氏名は公表されなかったのです。

 また、地方自治体の多くが、幹部(地方公務員)の天下り先を、個人情報だからという理由で、非公表にしています。

 さらに、政治家や官僚も、個人情報保護法を隠れ蓑に、情報公開法を骨抜きにしています。

情報公開法とは「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」の略称です。

これは、政府は保有する情報を国民に説明・公表する責務を負い、国民の的確な理解と批判のもとに、公正で民主的な行政を推進しなければならない、と定めた法律です。

  ところが、大臣や官僚の不祥事や不正経理問題が生じても、個人情報保護法を盾(たて)に公表されなくなったのです。

事実、政府に情報公開請求しても、個人情報保護を理由に、政府にとって不都合な箇所(かしょ)は黒く塗りつぶされているのです。

「個人情報保護法は情報公開法に基づく開示を妨げるものとはならない」と定められているにも拘わらずです。

 個人情報保護法施行前に斡旋(あっせん)受託(じゅたく)収賄(しゅうわい)罪(ざい)逮捕(たいほ)された国会議員が、後に次のように述べています。

「当時、個人情報保護法があれば、私の情報があれほどマスコミに流出する事はなかったでしょう。

この法律を悪用すれば日本の社会は権力者の思うがままで、不正があっても隠蔽(いんぺい)されてしまう危険があります。

権力者、政治家、高級官僚はこの法律を隠れ蓑に使いますよ」

 

 政治家も我々国民も、個人情報保護法の本来の趣旨を理解し、悪用したり過剰に反応したりしないよう努めるべきです。

個人情報保護法は、人々が互いに良い人間関係を築き、社会連帯を確保するための法律なのです。 

 

 今回で、個人情報保護法についての考察を終わります。

2018年

11月

30日

個人情報への過剰反応はやめましょう 第3回

平成30年12月1日

 

 

 個人情報への過剰反応が社会問題化したきっかけは、本法が全面施行した直後(平成174月)に発生したJR福知山線脱線事故でした。

 この時、JR西日本や病院などが、死傷者情報を、個人情報である事を盾(たて)にメディアに提供せず、大きな議論を呼んだのです。

 身近(みじか)にも過剰反応は蔓延(まんえん)しています。

私が学校へ通っていた頃は、クラス全員の名簿が配布され、枝分かれの連絡網もありました。

ところが、昨今(さっこん)は連絡網が配布されないため、緊急時の連絡に支障を来しているそうです。

 自治会名簿や、災害に備えての要援護者リストを作れないという混乱も生じています。

県や市の福祉・防災の担当部署間で要援護者情報の共有が進まない、民生委員が活動を円滑に行えない、という問題も発生しています。

 

 ある病院の待合室で、自分の名前を呼ばれた人が「なぜ人前で名前を呼ぶのだ。

名前は個人情報じゃないのか!」とクレームをつけました。

以後、この病院では患者を番号で呼ぶ事にしたそうです。

 当院では耳の遠いお年寄りが多いため、受付で患者さんをお呼びする際は、大きな声で名前を呼ぶようにしています。

個人情報保護法が施行された際に、従業員から「名前ではなく番号で呼ぶ事にしたらどうか?」との提案がありました。

 しかし、過剰な個人情報保護意識は暖かみのある人間関係を阻害する、と私は思います。個人情報への過剰反応により、がんじがらめになっては本末転倒です。

個人情報保護法は個人と個人を分断するための制度ではないのです。

当院では、これからも大きな声で名前を呼びます。

どうしても名前で呼ばれては困る方は、あらかじめ受付におっしゃって下さい。

 

 独立行政法人国民生活センターが、個人情報保護への過剰反応について報告しています(平成1711月)。

抜粋します。

 

 「これまで社会に定着してきた名簿や連絡網、あるいは緊急医療における個人情報の提供が、形式的な法律解釈や運用のもとで存在できなくなったり、不可能になる事は、個人情報保護法の本来の趣旨(しゅし)に反する。

  法律違反となる危険を恐れるあまり、個人情報の提供を一切行わないという対応が増えている。

また、十分な検討・工夫を講じないまま、個人情報保護法を理由に従来の活動を止(や)めてしまう、という事例が一般化している。

 法解釈が確立しておらず、手探りの状況であるが、解釈基準の明確化を通して社会の同意を得る努力が不可欠だ」

 

  私もその通りだと思います。

 

                                                      次号へ続く

2018年

10月

31日

個人情報への過剰反応はやめましょう 第2回

平成30年11月1日

 

  そもそも、個人情報保護法(以下、本法と約す)とはどのような法律なのでしょうか?

本法第1条に制定の目的が述べられていますので、要約します。

 

 高度情報通信(ITInformation Technology)の進展に伴って、個人情報の利用が著しく拡大しています。

個人情報をコンピューターで一括管理して利用する事は、何冊もの紙の台帳に書いて管理するよりも遥(はる)かに便利です。

しかし、コンピューター内の個人データを悪用すると、個人に回復不可能な損害を及ぼす恐れがあります。

 そこで、個人情報の取り扱いを適正に行うための指針を国が示す必要が生じました。

個人情報を取り扱う事業者が遵守(じゅんしゅ)すべき義務を定める事によって、個人の権利・利益を保護する。

これが、本法の目的です。

 

 本法第23条に、「個人情報取り扱い事業者は、原則として、あらかじめ本人の同意を得ずに、個人データを第三者に提供してはならない」と書かれています。

ただし、あくまで原則です。

同時に、例外規定が多く設けられているのです。

 例外の一つとして挙(あ)げられているのが、「人の生命、身体または財産の保護のために必要があり、本人の同意を得るのが困難な場合」です。

 前号で述べた、当院の患者さんの例は、この「人の生命、身体の保護のために必要」な連絡でした。

しかも、急いで本人に伝えなければならない用事で電話しているのですから、「本人の同意を得てから」などと悠長(ゆうちょう)な事を言っている場合ではありません。

当院からの電話に出た大学職員の言動は、まさしく過剰反応です。

おそらく、例外規定をご存じなかったのでしょう。

 

 このように、個人情報保護法に抵触(ていしょく)する事を恐れるあまり、過度に萎縮した対応をする「過剰反応」が日本中に蔓延(まんえん)しています。

 本法施行後、私が所属するテニスクラブは会員名簿を廃止しました。

私の母校である東京医科歯科大学医学部の同窓会名簿も虫食い状態です。

特に、若い卒業生の頁は空白だらけです。

私の家内が卒業した看護学校には同窓会名簿そのものが存在しません。

 

 本法は、個人の権利・利益を保護しつつ、個人情報を有効に活用する事を目的にしているのであって、過剰な保護を要求しているのではありません。

しかし、残念ながら、個人情報に対する過保護が拡散・定着し続けており、今や匿名(とくめい)社会・覆面(ふくめん)社会の様相を呈しています。

過剰反応によって、地域交流や事業活動も萎縮・不活発となり、社会問題になっています。                             

                               

                             次号に続く

2018年

9月

29日

個人情報への過剰反応はやめましょう 第1回

平成30年10月1日

 

 今回から、個人情報保護に対する過剰反応について、私見を述べます。

 

 過日、以下のような事件が起きました。

当院に不定期に通院している患者さん(大学生)に処方した薬について、本人に至急連絡しなければならない用件が発生しました。

当院事務員が本人の携帯電話に何度か電話しましたが、応答がありません。

大学生はアパートに一人暮らしで、実家の連絡先は不明です。

そこで、事務員がアパートを何度か訪ねましたが、いつも不在です。

仕方なく、本人が通う大学に電話しました。

治療に関する内容なので、伝言をお願いする訳にはいかず、本人を電話口まで呼び出して下さいとお願いしました。

応対した大学職員は当院の依頼には応じてくれず、当院から電話があった旨を本人に伝えるとの返答でした。

数日経っても本人から電話が来ないため、当院事務員がアパートを再度訪ね、メモ書きを郵便受けに入れましたが、やはり本人からの連絡がありません。

そこで、再度大学に電話し、本人に伝言してくれたのかどうかを尋ねたところ、驚くべき返事が返ってきました。

「伝言したかどうかは、本人が登校したか否かに関する個人情報であるから、教えられない」と言うのです。

「治療薬に関する緊急の連絡だから、本人を呼び出して欲しい」と再度頼みましたが、「今日登校しているかどうかの個人情報を教える事になるので、呼び出しはしない」と断られてしまいました。

結局、帰省から戻った本人がメモ書きを見て、当院を受診してくれたため、事なきを得ました。

 

 私は、この大学の応対に憤(いきどお)りを覚えました。

個人情報保護を理由に、医療機関からの電話を本人につながないのは、間違っていると思うのです。

 「個人情報の保護に関する法律(「個人情報保護法」といいます。以下、本法と略します)」は、平成155月に公布され、平成174月に全面施行されました。

この法律の目的は、「個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利・利益を保護する(本法第一条)」事にあります。

 しかし、本法の施行以後、この目的に反して、必要以上に個人情報の提供を控える事例が多発しています。

本来の趣旨とは異なる不必要な対応という意味で「過剰反応」と呼ばれています。

冒頭の大学の対応は、まさしく個人情報への過剰反応です。

                                                                                          次号に続く

2018年

8月

31日

日本からタバコを一掃しよう 第18回

平成30年9月1日

 

  禁煙を勧めると、「電子タバコに替えたんだから良いでしょ?」と開き直る患者さんが増えてきました。

そこで、いわゆる「新型タバコ」について、私の見解を述べます。

 

 従来のタバコ(燃焼式タバコ)とは異なる「新型タバコ」には、「電子タバコ」と「加熱式タバコ」の2種類があります。

 「電子タバコ」とは、液体を加熱してエアロゾル(固体または液体の微粒子が気体中に浮遊している状態)を発生させる製品です。

液体にはニコチンを含む物と含まない物とがありますが、そもそもニコチンを含まなければニコチン中毒患者を満足させられません。

ところが、液体のニコチン(猛毒!)を含む製品は、日本の法律では販売が禁止されています。

つまり、日本国内で喫煙者が「電子タバコ」を吸う事はできない訳です。

 「加熱式タバコ」には、葉タバコを直接加熱(蒸し焼き)し、ニコチンを含むエアロゾルを発生する製品(「アイコス」「グロー」など)と、エアロゾルを発生させた後にタバコ粉末を通過させる製品(プルーム・テックなど)があります。

日本の喫煙者が「電子タバコ」と呼んでいる物は、厳密には「加熱式タバコ」なのです。

  ニコチン中毒患者を満足させなければなりませんから、加熱によって発生するニコチンの量は従来の燃焼式タバコと同等です。

「アイコス」を生産・販売しているフィリップ・モリス・インターナショナル社は「アイコスを通じて禁煙できる」などと宣伝していますが、欺(だま)されてはいけません。

ニコチン中毒患者が従来のタバコと同等のニコチンを摂取し、ニコチンを買い続ける事が会社存続の必要条件だからです。

 有害物質である一酸化炭素やタール(煙の中の粒子成分)は、タバコの葉が燃焼する事によって生じます。

これらの毒は、加熱では比較的少量しか発生しません。

 しかしながら、ニッケル・クロムなどの重金属や放射性元素のポロニウム、ニトロサミン・ベンゾピレンなどの発癌物質、さらにはプロピレングリコール、ホルムアルデヒド、アクロレイン、アセナフテンなど数え切れないほどの有害物質が、加熱式タバコでも従来のタバコと同程度発生することが分かっています。

 「グロー」を生産・販売しているブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)社は「ハームリダクション " harm reduction "(危害を減ずる)が会社のポリシーだ」と強弁しています。

 皆さんは、「大部分の毒は今まで通りだけど、一部の毒は減らしたよ」と言いながら渡された毒薬を飲みますか?

BAT社の「ハームリダクション」なんぞ、欺瞞(ぎまん)なのです。

 「危険が少ない」という宣伝文句に乗せられて加熱式タバコを買う喫煙者は、もともとタバコの害を認識している訳です。

禁煙の入口に立っているとさえ言えます。

加熱式タバコを吸っているアナタ!

今すぐ、当院の禁煙外来を受診して下さい。

 タバコの葉を燃やしませんから、加熱式タバコでは副流煙はほとんど発生しません。

しかしながら、人が吸い込んだ空気の3分の1はそのまま吐き出されます。

なぜなら、人の呼吸には口腔・鼻腔・気管など、酸素交換には与(あずか)らない「死腔」が介在するからです。

 従って、加熱式タバコから吸入したエアロゾルやPM2.5と呼ばれる微小粒子状物質の3割以上が喫煙者の周囲に飛散します。

JT(日本たばこ産業株式会社)は「加熱式タバコは空気環境への影響がない」と宣伝していますが、大嘘なのです。

  東京オリンピックを控え、受動喫煙防止対策が急務になっています。

「店内禁煙」を謳(うた)っていても「紙巻きタバコは不可だが、加熱式タバコは可」などという飲食店があります。

この店の経営者はタバコ会社の嘘を信じ、とんでもない誤解をしているのです。

 前号で、私は「受動喫煙防止法」を制定すべきだと述べました。

現在、政府が議論している受動喫煙防止対策に新型タバコは含まれていません。

国の政策が、商魂たくましいタバコ会社の戦略に追いついていないのです。

是非とも、新型タバコを含めた「タバコ廃止法」の実現が必要です。

日本からタバコも新型タバコも、すべて追い出さなければなりません。

 

 以上で、計18回にわたるタバコ追放論を終わります。 

次回から、個人情報保護について私の考えを述べます。

2018年

7月

31日

日本からタバコを一掃しよう 第17回

平成30年8月1日

 

 

 日本たばこ産業株式会社(JT)の前身は専売公社です。

明治の初期、タバコ事業は民営でした。

しかし、富国強兵(ふこくきょうへい)政策の下(もと)、当時の政府は、財源を捻出する手段としてタバコ事業の民営を廃して専売(国営)にしたのです。

そこから得られる税収を軍備拡張に充当した訳です。

 1985年(昭和60年)に中曽根康弘首相が専売公社を廃止し、JTを設立・民営化しました。

しかし、民営化と言っても完全な民間会社になった訳ではありません。

「国策としてのタバコ事業」を継承したのですから、純粋の民間企業ではあり得ない法的な義務を負うと同時に、法的な保護を受ける事となったのです。

すなわち、JTはタバコ税の納付を義務付けられる代わりに、タバコ事業の独占を許されたのです。

 霞が関の省庁の中でも、予算編成と税制という強大な権力を握り、タバコ行政をも管轄する財務省。

民営化されたとは言え、財務省の管理下で、「国策会社」としてタバコの製造・販売を牛耳(ぎゅうじ)JT

「全量買い上げ」政策に安住しているため、生産性が向上しない葉タバコ農家。

政府の規制に守られながら商売を続けるタバコ小売店。

そして、これらの利権を堅持するために汗を流すタバコ族議員。

 こうした利害関係者がタバコに関する資金によって癒着し、堅固に結びついています。これが、日本に巣くう、巨大で頑強な利権構造です。  

  タバコ利権構造が存在する限り、政府による喫煙促進はなくなりません。

この利権構造を打破しなければ、タバコ規制枠組み条約を遵守(じゅんしゅ)し、国民の健康を守るためのタバコ規制を進める事は不可能です。

 そのために必要な事は、「たばこ事業法」「JT法」の廃止です。

そして、政府はJTの保有株を全て売却し、JTを完全民営化するべきです。

葉タバコの生産からタバコの製造・販売に至るまで、タバコ事業のすべてを財務省の支配下に置く事を定めたこれらの法律を廃止する事により、タバコ利権構造の法的基盤を解体する事が可能となります。

 JT完全民営化によって全量買い入れ制度がなくなれば、葉タバコ農家は転作や廃業を余儀なくされるでしょう。

タバコ小売店も減収は必至です。

 でも、心配無用です。

政府が保有するJT株の時価総額は約2兆円もあるのです。

この売却益で葉タバコ農家の転作や小売店の転業を支援すれば良いのです。

 「たばこ事業法」「JT法」を廃止すれば、タバコ規制枠組み条約に則(のっと)ったタバコ規制法の制定も可能になります。

その一環として「受動喫煙防止法」を定めれば良いのです。

そして、遠くない将来、日本からタバコを一掃する「タバコ廃止法」が成立する日を夢見て、タバコ追放談議を終わりにする、予定でしたが・・・。

 

 補足として、最近急速に普及している「新型タバコ」について、次号で述べます。

 

                                                      次号に続く

2018年

6月

30日

日本からタバコを一掃しよう 第16回

平成30年7月1日

 

 JTは財務官僚の有力な天(あま)下(くだ)り先であると同時に、財務省はJTの天(あま)上がり先にも成っています。

財務省とJTは人事面で完全に癒着しているのです。

 他にも問題な点があります。

JTは財務大臣の認可さえ受ければ、タバコ以外に事業を広げる事が可能とされているのです。

国営企業とも言えるJTが事業分野を勝手に広げれば、民業を圧迫してしまいます。

これは、企業間の競争条件を平等にするという原則から逸脱しており、許される事ではありません。

 一般の人々はこのような利権構造を知らずに、JTが完全に民営化された自立企業と思いがちですが、全くの見せかけなのです。

「たばこ事業法」や「JT法」が存在する限り、JTはタバコ産業保護のための国策会社であり続けるのです。

 タバコ税収は2兆円以上です。

財務省は貴重な財源としてタバコを手放したくないのです。

さらに、財務省はJTの筆頭株主として毎年300億円もの配当金を受け取っています。

財務省がタバコ規制に消極的な訳です。

財務省は、タバコ規制によってタバコの消費が減る事により、タバコ税収や株の配当金が減るのが困るのです。

 財務省はこの財源を死守するため、国内のタバコ産業全体を支配下に置き、政治的な影響力を持つ「タバコ族議員」との癒着関係を築き、利権構造を固めてきました。

「タバコ族議員」とは、葉タバコ生産地から選出された議員、および、JTの労働組合やタバコ販売業者組合から支援を受けている議員の総称です。

彼らは利害関係者の既得権(きとくけん)、つまりタバコ利権を守るために政治活動を行うのです。

 一方、葉タバコ農家で構成される「たばこ耕作組合」は、タバコ族議員に対して、「農家の経営を支える国産の葉タバコの全量をJTが買い取る」という契約の堅持(けんじ)を、求め続けています。

また、国際価格の3倍以上という高値(たかね)である、国産の葉タバコの価格維持や、JT株を政府が保有し続ける事も、求め続けています。

その見返りとして、「たばこ耕作組合」はタバコ族議員を選挙で応援してきたのです。

 さらに、JTは、株式の3分の1超を保有する筆頭株主である財務省のOB天(あま)下(くだ)りとして受け入れ、同時に天(あま)上がりを送っています。

持ちつ持たれつの協力関係を築きながら、財務省の支配を受けているのです。

 このように、財務省とJTを中心に、タバコ族議員、葉タバコ農家、販売業者がタバコに関する資金の流れにより強固に結び付いています。

これがタバコ利権構造です。

そこには、国民の健康という視点・発想は全くありません。

あるのは、販売量の維持によるタバコ税の確保と、明治以降培(つちか)ってきた、生産流通における既得権益の維持だけです。                                  

                           次号に続く

 

2018年

5月

31日

日本からタバコを一掃しよう 第15回

平成30年6月1日

 

 日本がたばこ規制枠組み条約に違反ばかりしているのは一体なぜでしょうか?

その最大の理由が、一般にはほとんど知られていない、日本特有の「タバコ利権」構造の存在です。

 「たばこ事業法」の下で、財務省とJTを中心に、葉タバコ農家、タバコ小売店、タバコ族議員が結束して、タバコの生産・製造・流通の既得権をガッチリ固めた利権構造を作っているのです。

このように戦時下さながらの「国策会社」が市場を牛耳(ぎゅうじ)っている例は、世界中どこを探しても見当たりません。

この日本独自のタバコ利権構造こそが、我が国でタバコ規制枠組み条約に則(のっと)ったタバコ規制法を作れない最大の原因です。

「たばこ事業法」と「日本たばこ産業株式会社法(JT法)」の2つの法律のもとで、財務省とJTが癒着・談合してタバコ利権を構築し、国民の健康をむしばんでいるのが実体なのです。

この状況を打破しなければ、日本からタバコを一掃する事はできません。

 タバコ対策の所管は、健康行政を司(つかさど)る厚生労働省であるべきです。

ところが、厚生労働省が国民の健康のために禁煙や受動喫煙防止対策を行おうとしても、タバコ産業を所管する財務省が妨害するのです。

税制や予算編成で絶大な権力を握る財務省に妨害されては、タバコ対策が進む筈(はず)がありません。

  一般的に産業分野ごとに、所管する省庁は異なります。

しかし、特例として、タバコ産業については、葉タバコ農家から、国内唯一のタバコ製造会社であるJT、そしてタバコ販売業者まで、すべて財務省の支配下にあります。

つまり、タバコ産業は財務省の独占体制なのです。

 

 「たばこ事業法」は

「タバコの原料となる国内産の葉タバコをJTが全量買い入れる」

JTがタバコの製造を独占する」

「財務大臣がタバコの小売価格を認可する」

「財務大臣がタバコの小売り販売業を認可する」

という事を定めています。

 

 また、「JT法」は

「政府が常時、JT株の3分の1超を保有する(すなわち筆頭株主)」

「財務大臣がJTの取締役選任、定款(ていかん)変更、事業計画を認可する」

「財務大臣がJTを監督する」

という事を定めています。

 

 つまり、これらの法律により、財務省は国内のタバコ産業を強固に保護しています。そして、タバコの生産から流通・販売までの全てを国家管理の下(もと)に置き、タバコ税とタバコに関するすべての利権を独占しているのです。

 財務省がJTの筆頭株主なのですから、JTのトップの座は常に財務省(かつての大蔵省)のOBが独占してきました。

つい最近まで、かつての大蔵省OBが、JTの会長、社長、副社長、常勤監査役に名を連ねてきました。

JTは財務省の支配下にあり、重要な天下り先なのです。     

 

                           次号に続く

 

2018年

4月

29日

日本からタバコを一掃しよう 第14回

平成30年5月1日

 

 引き続き、タバコ規制枠組み条約の主要条文を見ていきます。

 

第13条 タバコの広告と販売促進およびスポンサー活動を禁止する。

 

   タバコの被害を減らすために、タバコの広告、販売促進およびスポンサー活動を、例外なく禁止しなければなりません。

詐欺(さぎ)的な手段を用いて、健康への悪影響や危険性を隠した、虚偽(きょぎ)のタバコ広告を行ってはなりません。

また、小売店においてタバコを陳列する事は、タバコの宣伝・販売促進活動であり、禁止されています。

ところが、日本のコンビニでは100種類以上のタバコが陳列され、レジの「成人ボタン」を押せば簡単に購入できてしまいます。

これは完全に条約違反です。

タイでは、鍵をかけた棚にタバコを陳列し、販売の際には解錠しなければならない仕組みになっています。

日本はタイを見倣(みなら)うべきです。

 自動販売機は、その存在自体が広告となるため、禁止されています。

しかも、自動販売機は、未成年者が簡単にタバコを入手する手段になっています。

日本政府は「タスポ」なる成人識別カードを導入しただけで、自動販売機を野放しにしています。

簡単に貸し借り可能なカードで未成年者のタバコ購入を阻止できる訳がありません。

これも完全に条約違反です。

フランス、ベルギーなどヨーロッパの先進国は、国の法律でタバコの自動販売機を全面的に禁止しています。

当然、日本も見倣うべきです。

 タバコ箱の包装とデザインは宣伝・販売促進の重要な手段ですから、広告表示が一切ない「プレイン・パッケージ」が義務化されています。

例えば、オーストラリアのタバコ箱は、98%の面積をタバコ被害の写真や警告文が埋め尽くし、僅か2%の面積に銘柄が記載されています。

日本のタバコとは大違いです。

 タバコのインターネット販売は、宣伝・販売促進の役割を果たすため、禁止されています。

日本ではこれも野放しで、条約違反です。

 タバコ会社が「企業の社会的責任を果たすため」と称して行う、いかなる形態の寄付・スポンサー活動も禁止されています。

日本ではJTがバレーボールチームを持っており、バレーボールリーグのスポンサーにもなっています。

また、JTはゴルフや将棋などのスポンサーにもなっていますし、学生へ奨学金も交付しています。

いずれも条約違反です。

海外では一切禁止されています。

JTは、まやかしの「社会的活動」を直ちに止めるべきです。

 

第16条 未成年者への販売を禁止する。

 

  海外では、タバコの販売を、未成年者が購入しにくい対面販売だけに制限しています。

しかし、日本の実情は、第13条の説明で述べたように、無法地帯です。

                                                          

                             次号に続く

 

2018年

3月

31日

日本からタバコを一掃しよう 第13回

平成30年4月1日

  

  引き続き、タバコ規制枠組み条約の主要条文を見ていきます。

  

第11条 タバコ製品の包装とラベルの警告表示を強化する。

  タバコの包装及びラベルに、虚偽(きょぎ)の、詐欺(さぎ)的な用語や名称を表示してはいけません。

昨年12月号で述べたように、「低タール」、「ライト」、「ウルトラライト」などと消費者を騙(だま)してはいけないのです。

この点でもJTは条約違反を犯しています。

 タバコ箱の表示面の50%以上の面積に、喫煙による有害な影響に関する警告を、明瞭に表示しなければなりません。

  日本のタバコ箱に記載されている警告文は、字が小さく、表示面積も50%以上ではありません。

内容も、「人により程度は異なりますが、ニコチンにより喫煙への依存が生じます」などという曖昧(あいまい)な表現で、お茶を濁(にご)しています。

「喫煙は死を招く」などのストレートな表現がなく、写真による警告表示も皆無(かいむ)です。

 日本の警告表示は条約を遵守(じゅんしゅ)していないのです。

アメリカのタバコ「マールボロ」の箱には、太く大きな黒い字で"Smoking kills"(喫煙はあなたを殺す)と書かれています。

また、タイのタバコには、喉頭(こうとう)癌の手術を受けた患者の患部写真が印刷されています。

 

第12条 タバコの害について教育する。

  締約(ていやく)国は、すべての利用可能な手段を用いて、タバコの煙が及ぼす危険と、禁煙がもたらす利益について、啓発(けいはつ)しなければなりません。

そして、タバコを規制する政策を実施しなければなりません。

喫煙の"denormalization"(デノーマライゼーション)(「正常ではない」という考えを普及する事)が必要なのです。

  日本政府は、タバコ規制に重点を置いた社会基盤作りや国民への啓蒙(けいもう)を、ほとんど行っていません。

JTがどれほど狡猾(こうかつ)にタバコの害を隠し、消費者を欺(あざむ)いてきたか、についても沈黙しています。

JTと一体になった日本政府の、「法に基づいた規制を避けたい」「なるべく何もしないで済ませよう」という態度は、多くの国から非難されています。

 タバコ規制枠組み条約の締約国会議で、日本代表は"denormalization"という用語の変更を執拗(しつよう)に求め、参加各国の失笑(しっしょう)を買いました。

もちろん、日本の愚(おろ)かな主張は認められませんでした。

 

                           次号に続く

 

2018年

2月

28日

日本からタバコを一掃しよう 第12回

平成30年3月1日

  

  引き続き、タバコ規制枠組み条約の主要条文を見ていきます。

  

第8条 受動喫煙を防止する(建物内を100%禁煙にする)。

  これは屋内完全禁煙を意味します。

 受動喫煙による命の危険度を測る、分かり易い物差しはPM2.5(微小粉塵濃度)です。

これは直径が2.5μm(マイクロメートル)までの粉塵が1立方メートルの空気中にどれだけ含まれるかを重さ(μg(マイクログラム))で表した値です。

PM2.510増加すると、死亡者が1日で1%増加します。

WHOが設けた基準上限値は25ですが、中国の北京市では350を超え、さらに日本にまで流れて来たため問題になりました。

 ところが、禁煙ではない居酒屋のPM2.5700以上と、とてつもなく高濃度なのです。

北京の2倍です。

遠い北京から流れて来たPM2.5に大騒ぎする日本人が、居酒屋の大量のPM2.5には寛容なのが、滑稽(こっけい)に思えてなりません。

  受動喫煙には「安全なレベル」など存在しません。

 また、換気装置、空気清浄機、禁煙区域の限定(いわゆる分煙)などの「工学的」対策は、受動喫煙防止にはなりません。

タバコの煙に含まれる有害物質の多くは、空気清浄機で除去できないガス相(そう)成分です。

厚生労働省は、「空気清浄機は、空気をきれいにするどころか、発癌物質などを含む有毒ガスをまき散らしてしまう」と警告しています。

 

第9、10条 タバコの含有物・排出物を規制し、情報開示する。

   昨年11月の本欄で述べたような添加物はタバコに加えてはならないのです。

すなわち、ニコチンの吸収を促進するアンモニア、ニコチンの急性中毒症状を緩和するアセトアルデヒドの原料となる砂糖、副流煙を見えにくくする炭酸マグネシウム、副流煙の臭いを分からなくするベンズアルデヒドなどはタバコに添加してはならないのです。

JTは完全に条約違反を犯しています。

 また、有害物質の測定を正確に行い、きちんと情報開示する義務があるのです。

昨年12月に述べたように、JTはインチキな機械測定法でニコチン含有量を低く見積もり、それを臆面もなくタバコ箱に記載しています。

  測定方法も、情報開示の方法も、共に条約違反です。

 しかも、政府はそれを知っていながら見逃しています。

 JTと政府は国際条約違反の共犯者なのです。                        

                                                                                          次号に続く

お知らせ

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平成30年8月13日(月)から16日(木)まで休診致します。