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Exploring the History of Medicine, Part 51: Florence, Part 31
令和7年9月1日
フォロ・ロマーノForo Romano(続き)
前号で述べたように、ローマは7つの丘から始まりました。
丘と丘の谷間には7つの丘から小川が流れ込み、湿地帯を形成していました。
そこでは、蚊が大量に発生し、人が住むには不向きでした。
そこで、沼地を干拓して人が住めるようにしようと考えたのが、紀元前6世紀のタルクィニウス王です。
彼は下水道の建設事業に市民を駆り立てました。
あまりに市民を酷使したため、彼はローマから追放されてしまいましたが、彼の着想は
後にクロアーカ・マッシマ(巨大な下水溝)と呼ばれる下水道として実を結びました。
1.5kmに亘(わた)って建設されたこの巨大な排水溝が、沼の水をテヴェレ川まで運び、湿地帯をローマの都に変えたのです。
その中心が、今も残る市民広場フォロ・ロマーノです。
排水溝は紀元前4世紀には暗渠(あんきょ)化されました。
このローマの幹線下水道は、ローマ帝国崩壊以来、掃除されたことがないそうです。それにもかかわらず、今もなお、立派に機能しています。
古代ローマの医学史上最大の功績が、上下水道、公衆浴場の建設など、公衆衛生の発達です。
クロアーカ・マッシマはCloaca Massimaと書きます。
massimaはmassimo(最大の)の変化形です。
英語の maximum と同様にラテン語の maximusマクシムス(最大の)に由来します。
cloacaは下水道排水溝という意味ですが、解剖学では総排泄腔(そうはいせつくう)と訳されます。
鳥やカエルなどに見られる、直腸・膀胱・尿道・生殖器を兼ねる器官です。
総排泄腔をもつ動物では、排泄物(糞や尿)も卵や精子も、同じ穴から体外に排出されるのです。
学生時代に解剖学で習いましたが、下水溝という意味があるとは知りませんでした。
私や皆さんは、帝王切開で産まれた人を除いて全員、下水から出て来たことになりますね!
次号に続く