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Exploring the History of Medicine, Part 51: Florence, Part 31
令和2年10月1日
地域連携型医療法人に営利法人の参加は認められていませんが、関連事業を行う株式会社への出資は認められています。
この出資は「地域包括ケアシステムを推進する」事を前提としてのみ認めるとされています。
結局、「地域包括ケアシステム」を隠れ蓑(みの)にした営利化への手段に過ぎません。
金儲けにならなければ、参入する企業などあろう筈(はず)もないのです。
経済産業省の「次世代ヘルスケア産業協議会」が2014年6月に発表した中間とりまとめでは、地域におけるヘルスケア産業を創出し、「地域包括ケアシステムと連携したビジネス」の展開が打ち出され、そのための地域の医療・介護関係者を統合した「地域版次世代ヘルスケア産業協議会」の創設が提起されています。
「地域連携型医療法人(非営利ホールディングカンパニー型法人)」とは名称こそ違うものの、結局目指す所は、医療・介護・福祉を金儲(もう)けの対象とした「巨大な医療事業体」の立ち上げです。
その結果、住民を囲い込み、グループ以外の医療機関を排除するなどの暴挙が予想されます。
アメリカ型の巨大病院チェーンが算入する、という地獄のシナリオを心配する医療関係者もいます。
色々と呼び方を変えてはいますが、政府が「地域包括ケアシステム」の名のもとに、地域を医療・介護・福祉・生活支援の一大市場として拡大する事を目論(もくろ)んでいる事は間違いありません。
政府が地域における「自助、互助」を強調している事から、高齢者への生活支援を住民活動やボランティア団体に期待していると見る事もできますが、それだけでは生活支援サービスを安定的・継続的に供給する事はできません。
従って、政府は「地域連携型医療法人(非営利ホールディングカンパニー型法人)」に医療だけではなく、介護(介護保険制度外のサービス提供も含む)、生活支援、居住(サービス付き高齢者住宅など)をすべて提供できる法人・事業体の役割を負わせ、従えようとしているのです。
そして、公的医療・医療保険以外の健康サービス、介護保険制度のサービス、制度外サービス、居住サービスを金儲けの手段として行わせようとしているのです。
政府の医療市場参入の呼びかけに応じて、すでに、国の「公助」に替わる手段としての「商助」を売り物にする民間企業も現れています。
国家戦略特区(首都圏と関西圏)が動き出す中、外資系を含む金融会社や保険会社などの営利法人がハゲタカのように医療・介護・福祉分野に参入し始めています。
国の公的医療費抑制政策、医療市場拡大政策をこのまま許していると、金持ちしか良い医療を受けられなくなり、医療格差が拡大するのは確実です。
「地域包括ケアシステム」などという「ごまかし」の謳(うた)い文句に惑わされる事なく、いつでも、どこでも、誰でも、費用の心配なく安心して医療・介護が受けられる日本を目指さなければなりません。
以上で、9ヶ月間に及んだ欺瞞(ぎまん)に満ちた「地域包括ケアシステム」を終わります。