Message from the Directorを更新しました(Jan 1,2024)。
Exploring the History of Medicine, Part 51: Florence, Part 31
令和元年5月1日
今日から、令和時代が始まります。
私は、時代が変わっても、率直な意見を発信し続けますので、お付き合い下さい。
「『徘徊』と呼ぶことで人権や尊厳が損なわれる。『徘徊』という言葉を追放せよ」という言葉狩り思想は、認知症の本質から目をそらしています。
認知症高齢者の「徘徊」が在宅介護破綻(はたん)の直接原因となっている事例が数え切れないほどあるのです。
現在の介護保険制度が24時間、365日在宅介護を支えてくれる訳ではないからです。
「徘徊」老人を抱(かか)えた家族が、自分達の身を削って認知症者を見守り続けるか、それが不可能なら施設に預けるか、二者択一を迫られるのは紛(まぎ)れもない現実です。
私も父を在宅介護して同様の経験をしました。
前号で紹介した認知症介護研究研修東京センター永田久美子氏は、「『徘徊』という言葉が在宅介護を担(にな)う家族に二者択一を迫っている」と主張していますが、全くお門(かど)違いです。
『徘徊』と呼ぼうと呼ぶまいと、家族は二者択一を迫られるのです。
言葉の問題ではないのです。
「徘徊」追放運動を先導する人達は、自らの人権意識を誇示(こじ)するために言葉狩りをしているに過ぎません。
少なくとも私にはそうとしか思えません。
本稿に「偽善の言葉狩り」という副題を付した所以(ゆえん)です。
そもそも、日本語は表現力豊かで情感に溢(あふ)れ、語彙(ごい)も豊富で素晴らしい言語です。
幼稚園から英語を教えるくらいなら、「まずは国語をしっかり教えろ」と言いたいものです。自分自身を含めて、日本語が乱れていると痛切に感じます。
しかるに、本質を無視して特定の言葉を機械的に退(しりぞ)ける愚行(ぐこう)が、テレビ・ラジオなどの放送業界や新聞などの出版業界で繰り返されています。
これが言葉狩りです。
本稿でも取り上げた「キチガイ」「徘徊」も言葉狩りの標的です。
差別用語、放送禁止用語とも言われる一群の言葉は、特に定められたものではありません。放送局や新聞社などが自主的に判断して決めています。
「言論・表現は自由」の建前(たてまえ)を守りつつ、各社が偏(かたよ)った根拠に基づいて、「良識の範囲」で、独自に定めており、公表もされていません。
客観的な正当性もありません。
では、自主規制されているのはどのような言葉でしょうか?
インターネット上に数多く掲載(けいさい)されています。
一部を抜粋(ばっすい)します。
差別用語・放送禁止用語の例
・あいのこ
言い換え語として、近年まで「混血」が用いられていましたが、この言葉も差別用語として扱われるようになったそうです。
現在では「ハーフ」「ダブル」(まるでウィスキーのようです)、「ミックス」(サンドイッチ?それともジュース?)「ハイブリッド」(自動車?)などの言葉に置き換えられる事が多いそうです。
知りませんでした。
次号に続く