平成30年3月1日
引き続き、タバコ規制枠組み条約の主要条文を見ていきます。
第8条 受動喫煙を防止する(建物内を100%禁煙にする)。
これは屋内完全禁煙を意味します。
受動喫煙による命の危険度を測る、分かり易い物差しはPM2.5(微小粉塵濃度)です。
これは直径が2.5μm(マイクロメートル)までの粉塵が1立方メートルの空気中にどれだけ含まれるかを重さ(μg(マイクログラム))で表した値です。
PM2.5が10増加すると、死亡者が1日で1%増加します。
WHOが設けた基準上限値は25ですが、中国の北京市では350を超え、さらに日本にまで流れて来たため問題になりました。
ところが、禁煙ではない居酒屋のPM2.5は700以上と、とてつもなく高濃度なのです。
北京の2倍です。
遠い北京から流れて来たPM2.5に大騒ぎする日本人が、居酒屋の大量のPM2.5には寛容なのが、滑稽(こっけい)に思えてなりません。
受動喫煙には「安全なレベル」など存在しません。
また、換気装置、空気清浄機、禁煙区域の限定(いわゆる分煙)などの「工学的」対策は、受動喫煙防止にはなりません。
タバコの煙に含まれる有害物質の多くは、空気清浄機で除去できないガス相(そう)成分です。
厚生労働省は、「空気清浄機は、空気をきれいにするどころか、発癌物質などを含む有毒ガスをまき散らしてしまう」と警告しています。
第9、10条 タバコの含有物・排出物を規制し、情報開示する。
昨年11月の本欄で述べたような添加物はタバコに加えてはならないのです。
すなわち、ニコチンの吸収を促進するアンモニア、ニコチンの急性中毒症状を緩和するアセトアルデヒドの原料となる砂糖、副流煙を見えにくくする炭酸マグネシウム、副流煙の臭いを分からなくするベンズアルデヒドなどはタバコに添加してはならないのです。
JTは完全に条約違反を犯しています。
また、有害物質の測定を正確に行い、きちんと情報開示する義務があるのです。
昨年12月に述べたように、JTはインチキな機械測定法でニコチン含有量を低く見積もり、それを臆面もなくタバコ箱に記載しています。
測定方法も、情報開示の方法も、共に条約違反です。
しかも、政府はそれを知っていながら見逃しています。
JTと政府は国際条約違反の共犯者なのです。
次号に続く