平成30年1月1日
明けましておめでとうございます。
今年も率直に意見を述べますので、お付き合い下さい。
前回まで述べたように、タバコは百害あって一利なしです。
ブータンという国は「タバコを作らない、売らない、吸わない世界で初の国」です。
私は日本もブータンのようにタバコのない国になって欲しいと願いますが、当分無理でしょう。
喫煙者が自分の健康を害してでもタバコを吸うのは、本人の自由かも知れません。
しかし、タバコを吸わない人の健康を害する自由は絶対にありません。
そのため、タバコをいきなり全面禁止にはせず、まずは喫煙者を増やさないようにして、能動喫煙・受動喫煙の健康被害を減らす対策がとられるようになりました。
それが、タバコ規制枠組み条約(FCTC)です。
FCTCとはFramework Convention on Tobacco Controlの略です。
能動喫煙のみならず受動喫煙も深刻な健康被害をもたらす事が明らかになりました。
そこで、WHO(世界保健機関)は適切なタバコ規制を世界中で推進するため、国際的に取り組む条約を作ったのです。
タバコ規制枠組み条約は2003年にWHOの総会で採択されました。
「能動喫煙と受動喫煙が死亡・疾病・障害を引き起こすと、科学的証拠により明白に証明されている」事を前提として、「タバコの需要を減らし、タバコの煙にさらされる事を防ぐための措置を講じる」事を求めています。
日本は翌年の2004年にこの条約を批准しました。
批准とは、条約に署名し、受諾書を提出する事です。
日本が国家としてこの条約に拘束される事を決定した訳です。
つまり、日本はこの条約に定められた措置を実施する義務と責任を有するのです。
この条約により、日本は2010年(平成22年)2月末までに、公共の屋内における完全禁煙を義務づけられました。
しかしながら、日本国政府は未だに全く実施していません。
この条約を批准していながら実行に移していない国は、アフリカの発展途上国を除けば、北朝鮮と日本だけです。
例えば、ドイツは2007年に「受動喫煙防止法」を制定しました。
アメリカでも多くの州が州法で受動喫煙防止措置を定め、2009年にはオバマ大統領が連邦食品医薬品局(FDA)に強力な権限を与える「タバコ規制法」に署名しました。
今や、条約に基づいて、ヨーロッパ・北米・アジアの主要国でタバコ規制が進み、受動喫煙防止措置が実行されています。
日本はタバコ対策において、北朝鮮と同レベルに怠慢なのです。
この点に関して、日本は欧米各国から強く非難されています。
条約とは、国際社会の中で様々な国が互いの利害を乗り越え、それぞれの役割を果たすために締結する約束です。
一国の政府が署名し、国会の議決を経て締結しながら、その約束を守らないとは、国際社会における責任ある国家のなすべき事ではありません。
次号に続く