平成29年12月1日
タバコが如何に有害であるか、続けます。
10.「マイルド」「ライト」の欺瞞(ぎまん)
パッケージ表示のニコチン・タール量は、機械によって一定量吸煙した際の捕集量から算出しています。
「マイルド」「ライト」と称されるタバコには、フィルター部分側面に小さな空気穴を空(あ)ける、空気を通す巻紙を使用する、などの細工が施してあります。
機械で測定する際には、煙が薄まってニコチン・タール量が少なく見積もられるという寸法です。
喫煙者の一般的な喫煙方法において、1本のタバコからおよそ1mgのニコチンが体内に吸収されます。
この程度の量が吸収されないと、脳内報酬系のスイッチが入らず、喫煙者が満足できないのです。
機械吸入によるニコチン捕集量が0.1mgの「マイルド」「ライト」タバコでも、ニコチン捕集量が1mg以上の普通のタバコでも、喫煙者の体内に吸収されるニコチン量は1mgです。
喫煙者にとって、脳内報酬系を賦活して満足感を得られなければ、タバコを吸う意味がありません。
だから、どんな種類のタバコを吸っても、喫煙者が摂取するニコチン量は同じ1mgなのです。
従って、「マイルド」「ライト」タバコの喫煙者は、代償性喫煙と呼ばれる吸い方をしなければなりません。
すなわち、肺の奥深くまで吸い込む、根元(ねもと)まで吸う、空気穴を塞(ふさ)いで吸う、吸う本数を増やす、などの涙ぐましい努力を行っているのです。
その結果、普通のタバコを喫煙した時と同等の健康被害を受けてしまうのです。
ちなみに、ニコチン表示量の異なる「メビウス(旧マイルドセブン)」シリーズのフィルター部分を拡大して見比べて下さい。
「ライト」「ウルトラライト」「エクストラライト」とニコチン表示量が小さくなるにつれて、空気穴の数が増え、しかも穴の位置が吸い口に近付いています。
表示値を決める機械吸入では、煙が薄まるため、空気穴の多いタバコではニコチン量が低く見積もられるという訳です。
巧妙な騙(だま)しのテクニックです。
実際に人が喫煙する際には、唇で穴を塞いで吸うため、脳内報酬系を賦活するのに必要なニコチンを吸収して、満足感を得られるという仕組みです。
そして、同時に、他の有害物質も同様に多く吸収するため、健康を害するという訳です。
代償性喫煙によってニコチン吸収量が増加すると同時に、「マイルド」「ライト」タバコでは、相対的に副流煙中の有害物質の量も多くなります。
その理由は2つあります。
①副流煙はフィルターを通らないため、空気穴の空いたフィルターで薄められる事もありません。
②「マイルド」「ライト」タバコには、薄い煙を補うための添加物も多量に混ぜられているため、それらが燃焼した時に発生する有害物質も増加します。
次号に続く