平成29年10月1日
タバコが如何(いか)に有害であるか、続けます。
6.多環(たかん)芳香族(ほうこうぞく)炭化水素(たんかすいそ)
複数のベンゼン環(かん)が結合した物質の総称です。
タバコの煙にはピレン、ベンゾピレン、アントラセンなど20種類以上の多環芳香族炭化水素が含まれます。
これらは、発癌性を有するほか、前述の通り、活性酸素の原料となります。
7.ダイオキシン
塩素化合物と有機化合物の低温燃焼によって発生します。
塩素系添加物を含むタバコの燃焼(特に副流煙発生時)はダイオキシンの好発生条件です。
ダイオキシンには発癌性があるほか、環境ホルモンとして微量でも生体に悪影響を及ぼす事は、皆様ご承知の通りです。
タバコの煙に含まれるダイオキシン濃度は、ごみ焼却場のダイオキシン濃度の3倍~18倍と、非常に高濃度です。
近所にゴミ焼却場が建設予定と聞いて反対する人は、その前にまず、自分が禁煙し、家族の喫煙をやめさせる方が先決です。
8.一酸化炭素
タバコの主流煙には3~4万ppm(3~4%)の一酸化炭素が含まれています。
アイドリング中の自動車の排気ガス(1%以下)よりも高濃度です。
喫煙者が一酸化炭素中毒で死なないのは、吸入が間歇的(かんけつてき)だからに過ぎません。
喫煙者の呼気からは、喫煙直後でなくても、屋内(おくない)環境基準である10ppmを超える一酸化炭素が検出されます。
実際、当院の禁煙外来を受診する患者さんの多くが10ppm以上です。
一酸化炭素は赤血球のヘモグロビンと強力に結合してしまい、ヘモグロビンが酸素と結合するのを妨(さまた)げます。
その結果、酸素が血液に乗って運搬(うんぱん)されなくなりますから、脳・心臓・腎臓を含む体中(からだじゅう)の臓器が酸素不足となります。
心臓は、各臓器の足りない酸素を補うため、無理をして血液を循環させようとしますから、過重労働となり、狭心症や心筋梗塞を発症します。
一方、生体(せいたい)は、酸素を運びやすくするために、赤血球を増やそうとします。
そのため、赤血球増加症(多血症)となり、血が固まり易(やす)くなります。
流行(はや)りの言葉で言えば、血がドロドロになるのです。
そして、脳梗塞や心筋梗塞が発症するのです。
9.添加物
タバコの煙に含まれる有害物質の発生には、JT(日本たばこ産業株式会社)が申告しただけでも、約600種類に上(のぼ)る添加物が関与しています。
これらの添加物は、喫煙の開始と継続を容易にすると同時に、ニコチンの依存性を増強する事を目的として、タバコの葉や巻紙(まきがみ)に混ぜられているのです。
元々(もともと)は無害な添加物でも、燃焼に伴(ともな)って危険な物質に変化します。
次号に続く