平成29年9月1日
タバコが如何(いか)に有害であるか、さらに続きを述べます。
3.ニトロソアミン類
タバコの葉にはニコチンを始め多くのアミン類が含まれ、燃焼時、および生体内吸収後にニトロソアミン類に変化します。
その多くが発癌性を有します。
特に、腺組織の発癌を促すことが知られています。
肺腺癌、胃癌などの腺癌の発生と関連が深いのです。
厚生労働省の喫煙と健康問題に関する検討会は次のように報告しています。
「レストランなどの換気された室内でも、8時間で10本の喫煙が行われると、非喫煙者が受動喫煙させられる有害物質の量は、ニコチンが能動喫煙0.1本分であるのに対し、発癌物質であるニトロソアミン類は能動喫煙者の吸入量とほぼ同じであった」
つまり、こういう事です。
ニコチンは、喫煙者自身への悪影響が強い割には非喫煙者への影響は限定的です。
それに対し、ニトロソアミン類は、受動喫煙させられる非喫煙者も、喫煙者自身と同じくらいの被害を被(こうむ)るのです。
4.アルデヒド類
タバコに添加されているグリセリン(保湿剤)や砂糖などが燃焼して発生します。
ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドなどです。
これらは発癌性を有する他に、ホルムアルデヒドは強い粘膜刺激性を有し、アセトアルデヒドは依存性を促進します。
アセトアルデヒドについては、後ほど詳述します。
5.活性酸素
酸化作用の強い酸素関連物質の総称です。
タバコの煙自体が活性酸素を含みます。
それに加え、煙に含まれる多環(たかん)芳香族(ほうこうぞく)炭化水素という有機化合物が肺などで酵素処理される過程で、多量の活性酸素が生じます。
活性酸素は、以下のような種々の害を及ぼします。
①細胞核内のDNAを酸化して発癌を促進します。
②肺胞の弾性線維を破壊し、COPD(慢性閉塞性肺疾患)(肺気腫・慢性気管支炎 の総称)や自然気胸を発症します。
③動脈壁を酸化して、動脈硬化を促進します。
④動脈壁中膜の弾性線維を破壊し、脳動脈(のうどうみゃく)瘤(りゅう)、大 動脈瘤、大動脈(だいどうみゃく)解離(かいり)を発症します。
⑤皮膚や骨の膠原(こうげん)線維を破壊して、皮膚のシワを増やし、骨粗鬆症 を引き起こします。
タバコによって皮膚のシワが増えた顔をsmoker's face(タバコ飲みの顔)と呼 びます。
⑥気管支喘息、脳動脈や冠動脈の「れん縮」、胃・十二指腸潰瘍、脱毛、白内 障、黄斑変性などを発症します。
次号に続く