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Exploring the History of Medicine, Part 51: Florence, Part 31
2015年10月1日
今回から、医師・患者関係における性別への配慮について、私の考えを述べます。
ある日の新聞に、60歳代の女性から次のような投稿がありました。抜粋します。
週末の夜に突然、下腹部の激痛に襲われ、救急病院に駆け込んだ。
男性医師が尿管結石と診断し、「痛み止めに坐薬を使います。僕が入れて良いですか?
それとも、看護婦に入れさせましょうか?」と尋ねてくれた。
そして、こちらの希望通り、看護婦が私の直腸に坐薬を入れてくれた。
ほどなくして痛みが治まり、帰宅できた。
あの時の私は、猛烈な痛みに悶(もだ)え苦しんでいたと思う。
その状況に動揺する事なく、患者を気遣(きづか)ってくれた医師の優しさに感謝したい。
皆さんはこの投稿を読んでどう思いますか?
私は強烈な違和感を覚えます。
週末の夜間、救急病院の当直医が、下腹部痛で苦しむ急患を治療する際に、ワザワザ本人に質問したのです。
「今からアナタのお尻に坐薬を入れます。男の私が指で挿入しても良いですか?」と。
はたして、この男性医師は、思いやりのある優しい医師なのでしょうか?
そして、この医師の言動は、女性投稿者が感謝すべき気遣いなのでしょうか?
私は、全然、そうは思いません。
医師に課せられた使命は、限られた時間の中で、患者さんの訴えを理解・整理し、的確に診断し、最適な治療を迅速に行う事です。
医師は患者さんを診察する際、診断・治療に専念するべきです。
一方、医療機関を受診する患者さんも、遊びに来たのではありません。
世間話(せけんばなし)をしに来たのでもありません。
自分の病状を診断して欲しいから、苦しんでいる症状から解放して欲しいから、恐ろしい病気に進行する前に治したいから、病院・医院を訪ねて来た筈(はず)です。
「異性の医師に自分の身体を見せるのは恥ずかしい」という気持ちは一旦忘れて、医師の診察を受けるべきです。
私は、医師・患者関係において、性別への配慮を優先するべきだとは、全く思わないのです。 次号に続く