健康情報のウソ・ホント 第21回

ステロイド(続き)


2015年8月1日

 

 ステロイド外用剤はアトピー性皮膚炎や接触性皮膚炎(かぶれ)などの皮膚炎に対して、主に炎症を沈静化させる目的で使用します。

 薬剤である以上、ステロイド外用剤にも当然副作用はあります。

臨床効果と副作用は、同じ薬理作用によって生じる訳ですから、表裏一体(ひょうりいったい)の避けがたい現象と言わざるを得ません。

副作用には、塗(ぬ)った皮膚局所に現れる副作用と、吸収されて全身に現れる副作用の2つがあります。

 外用剤を常識的に使っている限り、全身的な副作用(糖尿病、骨粗鬆症、ムーンフェイス(満月様顔貌)(まんげつようがんぼう)など)は起こり得ません。

ましてや、一部の著書に見られる「ステロイド外用を続けると必ず廃人になる」との主張は荒唐無稽(こうとうむけい)な虚言(きょげん)です。

 ちなみに、常識的な使い方とはどのようなものでしょうか?

ある研究によると、ステロイド軟膏10g3カ月間、毎日皮膚に塗り続けると(つまり合計900g塗ると)、一過性に副腎機能が低下したそうです。

 当院で処方するステロイド軟膏は15gです。

これを毎日2本ずつ塗り続ける人は当院の患者さんにはいません。

私がそれほど大量のステロイドを処方する事はないからです。

また、当院で処方するステロイド外用剤1(5g)には2.5mgの糖質コルチコイドが含有されています。

これは、私達の副腎が1日に分泌する糖質コルチコイド(20mg)10分の1程度です。つまりステロイド軟膏を10本まとめて舐(な)めてしまったとしても、もともと副腎が分泌する正常量と同じであり、何ら有害事象は生じないのです。

 局所的副作用の内、痤瘡(ざそう)(ニキビ)、潮紅(ちょうこう)(赤ら顔)、皮膚萎縮(ひふいしゅく)(シワ)、萎縮性皮膚線条(いしゅくせいひふせんじょう)(スジ)、毛細血管拡張、多毛、紫斑(しはん)(皮下出血)、真菌感染症(水虫)などは時に生じ得ます。

しかし、いずれもステロイドの中止あるいは適切な処置により回復します。

従って、むしろ安全性は高い外用薬だと言えます。

 また、皮膚炎に対してステロイド外用剤を使用しても色素沈着(シミ)が残る事がありますが、皮膚炎に伴う色素沈着であって、ステロイドによるものではありません。

結局、適切な強さのステロイドを適切な量だけ用いれば、ステロイドほど有効な外用薬は他にありません。

安全性に関しても、他の薬剤に比べ、むしろ優れているのです。

 アトピー性皮膚炎などの治療の途中で、ステロイド外用を中断すると、当然ながら症状は悪化します。

特に、症状が増悪している最中に突然中止すると、急激な皮膚症状悪化を来してしまい、これを「ステロイドによるリバウンドだ」と非難する人がいます。

あるいは、「ステロイドにはリバウンドがあるから使いたくない」と、訳(わけ)知り顔で、のたまう御仁(ごじん)もいます。

 しかしながら、そもそも薬理学に「リバウンド」なる用語は存在しません。

"rebound"を英和辞書で引くと「反動、反発」という訳語が当てられています。

恐らく、「ステロイドにはリバウンドがある」と非難する人達は、ステロイドを止めて皮膚炎が再燃する事を「リバウンド」と称しているのでしょう。

 でも、ちょっと待って下さい。

アトピー性皮膚炎という疾患そのものが、増悪(ぞうあく)・寛解(かんかい)を繰り返し、慢性・反復性経過を辿(たど)る湿疹なのです。

良くならないうちに治療を中断すれば増悪・再燃(さいねん)するのは当たり前です。

これをステロイドのせいにするのは、お門(かど)違いというものです。

                                                                                                                  次号に続く

 インフルエンザ予防接種の予診票は当院受付にてお配りしている他、本サイトからもダウンロードできます。予め記入後お持ち下さい。

  ただし、「65歳以上の藤沢市民」は、インフルエンザ・コロナワクチン共に、当院にて専用の予診票に記入して頂く必要があります。ダウンロードはできません。

お知らせ

8月13日(火)、14日(水)、15日(木)の3日間、夏期休診させて頂きます。

Message from the Directorを更新しました(Jul 1, 2024)。 

令和6年4月以降、発熱など風邪症状がある方も、電話連絡等は不要となりました。

令和6年3月14日(木)、21日(木)、28日(木)の各木曜日休診します。

4月以降も、毎週木曜日休診します。

3月7日(木)臨時休診します。

2月28日(水)から3月5日(火)まで臨時休診します。3月6日(水)から診療再開します。

令和6年4月より、毎週木曜日、休診します。

1月25日(木)は通常通り診療します。

2月1日(木)は急用のため、休診いたします。

急用のため、1月18日(木)休診いたします。

 

急用のため、1月11日(木)休診いたします。

 

令和5年12月29日より翌1月3日まで休診します。ただし、1月2日は藤沢市休日当番医のため、午前9時から午後5時まで、急病・外傷患者さんの診療を行います。