平成26年7月1日
統計によると、人の一生に於(お)いて、種々の原因で死亡する確率は以下の通りです。
喫煙0.064、交通事故0.0072、火事0.00136、落雷0.0000016 です。
HPVワクチンによる副反応を恐れて、娘さんへの接種をためらっているお母さん方へ。
・タバコで死ぬ確率の方が8,400倍も高いですよ。あなたやご主人が喫煙者なら、まず禁煙する方が、ワクチン接種を控えるより、はるかに有効で、価値が高いのです。
・交通事故で死ぬ確率の方が1,000倍も高いですよ。
お嬢さんにワクチンを打てないのなら、明日から外を歩けません。
ワクチンの副反応よりも、交通事故で死ぬ危険の方が1,000倍も高いのですから。
・火事で死ぬ確率の方が200倍も高いですよ。お嬢さんにワクチンを打つのが怖いのなら、お宅の火の用心をする方が200倍も有効ですよ。
・お嬢さんにワクチンを打つのをためらうのなら、明日から外に出ないで下さい。
ワクチンの副反応も、雷に打たれて死ぬのも、同じ確率ですから。
ハーバード大学のリスク解析センターでは、リスクを人々が強く感じるようになってしまう10の要因を発表しています。
①恐怖心:恐怖を感じる事態に人は強くリスクを感じます。
昨年6月、テレビ各社が放送した映像に恐怖を感じた方が多い筈(はず)です。
②制御不能:自分がコントロールできないリスクを人は大きく感じます。
注射の副反応は制御不能と考える方が多いでしょう。
③人工物:「自然」嗜好(しこう)の人が多いです。「自然のままの」「ナチュラルな」という言葉に人は引き寄せられてしまいます。一方、人工物には極めて厳しいのです。
ワクチンも人工物の一つです。
④選択の制限:他人から押しつけられたリスクは大きく感じます。
⑤子供:自分の子供に関するリスクは過大に感じます。
ワクチン問題は、まさしくこの典型です。
⑥新しいリスク:知らない事に関して人は恐怖を覚えます。
HPVワクチンは新しいワクチンですから、よけい怖いのです。
⑦関心:大きく報道されるほど、リスクを強く感じます。
昨年6月の報道はセンセーショナルでした。
⑧自分に起こるか:自分の関係者に被害が及ぶ可能性が少しでも感じられると、リスク認知は急激に高まります。まして、自分の子供に及ぶとなると、なおさらです。
⑨リスク(危険)とベネフィット(利益)のバランス:危険に対して利益が不明確なら、誰もリスクを取りたがりません。新聞・テレビなどのマスコミの報道はHPVワクチンの危険ばかりを強調し、利益についての啓蒙が余りにも少なく、著しく偏(かたよ)っています。
⑩信頼:国民は政府を信頼していません。政府の公式発表よりも、テレビのバラエティ番組に登場するタレント教授の怪しげな言説の方を信じる人が何と多い事か。
誠に嘆かわしい限りです。
昨年6月以降、HPVワクチンに対する国民の恐怖心には、以上10項目のすべてが当てはまります。
次号へ続く