平成26年2月1日
前回、副作用(副反応)ゼロのワクチンは存在しない事を説明しました。
子宮頚癌予防ワクチン(HPVワクチン)と同じく昨年4月より定期予防接種(公費助成により対象年齢者は無料)となったHib(ヒブ)ワクチンや小児用肺炎球菌ワクチンでも同様です。
我が国では昨年3月までに、Hibワクチンの副反応として、熱性けいれん9件、発熱8件、けいれん5件が報告されています。
推定接種者数は140万人です。
14万人~28万人に1人の確率です。
小児用肺炎球菌では、発熱17件、けいれん3件です。
推定接種者数が70万人ですので、5万人~20万人に1人の確率です。
HPVワクチンについては後で詳しく述べますが、HPVワクチンが特別に危険だとは見なせないのです。
では、子宮頚癌について少し詳しく説明しましょう。
性の開放が広がった今日、性行為の形態も多様化しました。
昔は恥ずかしくて言葉に出せなかった同性愛も、今では堂々と市民権を獲得し、フランス、スウェーデンなどの諸国やアメリカの一部の州で同性婚が認められています。
このような世情を反映して、男女間の性行為を介して発症する「性病」という言葉に替わり、より広い意味を持った「性媒介感染症」という言葉が微生物学では主流になりました。
我が国では性媒介感染症の患者が予想外に多い事が分かってきました。
特に、性器クラミジア症と淋病の2つで100万人以上の患者がいるそうです。
その次に多いのが性器ヘルペスと尖圭(せんけい)コンジローマです。
尖圭コンジローマという病名は読者の方にはなじみが薄いかも知れませんが、陰部粘膜の増殖により出現する疣贅(ゆうぜい、イボ)を指します。
尖圭コンジローマの疣贅(ゆうぜい、イボ)はヒトパピローマウィルス(HPV)(以下、パピローマウイルス)の感染によって生じます。
痛みも痒(かゆ)みもなく、癌化する事もありません。
免疫力によって自然に退縮する事もあります。
パピローマウイルスには100以上の遺伝子型がありますが、尖圭コンジローマの原因となるのはパピローマウィルス6型と11型です。
これとは別に16型、18型など15種類ほどのパピローマウイルスが膣と子宮体部の間の子宮頚部の粘膜に感染すると、異形成(細胞の異常)を生じ、次第に悪性化して子宮頚癌となることがあります。
次号へ続く