TPPでどうなる? 日本の医療 第8回

平成25年2月1日

 

TPPでどうなる? 日本の医療 第8回

 

 前号で、日本がTPPに参加すると、薬価制度が廃止され新薬の値段が跳ね上がるだけでなく、ジェネリックは一掃されて、薬剤費全体が高騰すると述べました。

「そんな筈(はず)はない」と疑っている方のために、アメリカが韓国、オーストラリアと締結した自由貿易協定(米韓FTA、米豪FTA)を参考までに見てみましょう。

・米韓FTA

   結論から先に言えば、昨年3月に発効した米韓FTAの取り決めは、それより以前に米国通商代表部が日本に要求してきた内容と酷似しています。

①「韓国政府が規制の必要性を立証できない場合は、市場開放のための追加措置を執らなければならない」

つまり、例えば薬の値段を韓国政府が安く抑えようとしても、その必要性を立証しなければ、アメリカの製薬会社の言い値で買わされるという事です。

これは薬に限らず、他の品目やサービスについても同様です。

アメリカの都合で次々と市場開放が行える仕組みなのです。

②「韓国では国内法より米韓FTAが優先適用されるが、アメリカ国内法は米韓FTAに優先する」

つまり、韓国はアメリカ製品を関税ゼロで輸入しなければならないが、アメリカは自国の企業を守るために韓国からの輸入品に関税をかけても良いという事です。

完全にアメリカ寄りの、韓国を馬鹿にした不平等協定なのです。

③「アメリカ製薬企業の医薬品の独占的特許を認め、特許期間を延長して高薬価を維持する」

つまり、アメリカが日本に要求してきた「新薬創出加算の恒久化、加算率の上限撤廃」と同じです。アメリカは日本と韓国に同じ要求をしているのです。

④「韓国政府の薬価の決め方に対して、アメリカ製薬企業が不服のある場合、見直しを申請できる独立機関を設置する。」

これは、韓国政府の社会保険政策に外国企業が干渉する事を認める条項です。

アメリカは既に同様の要求を日本に対してもしています。

 韓国では、FTA交渉妥結までその内容はほとんど国民に知らされず、政府も一貫して医療の開放は無いと断言していたそうです。ところが、蓋(ふた)を開けてみれば、アメリカが韓国を植民地扱いした屈辱的な内容だったのです。

当然ながら、韓国国内では、米韓FTAは韓国側だけが義務を負う不平等協定だと批判が上がっています。

 

・米豪FTA

 かつて、オーストラリアには、国民が医薬品を購入する際に自己負担金の一部を国が肩代わりする制度がありました。しかし、これに対しアメリカは、自国の製薬企業が知的財産権の恩恵を受けることを妨げていると主張しました。その結果、特有の効能を有すると判断される医薬品には高い薬価を設定するよう協定が結ばれました。

このため、薬剤費の高騰がオーストラリアの医療保険財政を圧迫しています。

 

 アメリカが韓国とオーストラリアにFTAを通じて要求した事項は、日本がTPPに参加すれば、必ず日本にも要求してくるに決まっています。

そもそも、韓国がTPPに参加せずに、2国間協定である米韓FTAを選んだ理由は何でしょうか?それは、関税も非関税障壁も原則撤廃という過激な協定であるTPPに参加するよりも、2国間での調整交渉の余地があるFTAの方が有利だと考えたからです。

しかし、TPPよりも自国にとっては有利な筈(はず)FTAにおいてさえ、韓国はこれほど不平等な、自国にとって不利な協定を結ばされているのです。

 日本はアメリカとFTAすら結べていないのに、もっとハードルが高く不利な条件のTPPに参加しようとしています。その戦略性のなさに、私は驚愕(きょうがく)を覚えます。日本政府は馬鹿じゃないだろうか?と思えてなりません。

                                                                                                                 次号に続く

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令和6年3月14日(木)、21日(木)、28日(木)の各木曜日休診します。

4月以降も、毎週木曜日休診します。

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令和6年4月より、毎週木曜日、休診します。

1月25日(木)は通常通り診療します。

2月1日(木)は急用のため、休診いたします。

急用のため、1月18日(木)休診いたします。

 

急用のため、1月11日(木)休診いたします。

 

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