平成24年7月1日
TPPでどうなる? 日本の医療 第1回
今月からしばらく健康情報のウソ・ホントをお休みし、TPP (Trans-Pacific Partnership)(環太平洋経済連携協定)について述べます。
野田首相は約2カ月前の4月30日に、オバマ米大統領とホワイトハウスで、民主党の首相として初の公式日米首脳会談を行い、共同声明を発表しました。
その骨子(こっし)の1つとして、「TPPについては、引き続き日米二国間の協議を前進させる」という事項があります。
野田首相は正式なTPP参加表明については見送ったものの、依然として参加意欲が旺盛である事を対外的に示した訳です。
この僅(わず)か2週間足らず前の4月18日には、「国民医療推進協議会」が「TPP参加反対総決起大会」を開催し、「日本のTPP参加に反対する」という決議を発表していました。
この「国民医療推進協議会」は、日本医師会を筆頭に計40の医療関係団体で組織されており、昨年11月以降、政府に対してTPP交渉対象に公的医療保険制度を含めないよう、再三再四、要請してきました。けれども、政府が明確に返答しなかったため、ついに、さらに踏み込んでTPPへの参加自体に異議を唱(とな)える決議をしたのです。
野田首相はこれを無視して、オバマ大統領との共同声明を発表したのですから、政府と「国民医療推進協議会」はTPP参加の是非を巡って、今後激しく対立して行くでしょう。
ここに、4月18日における「国民医療推進協議会」の決議文を掲載します。
「TPPに参加すれば、我が国の医療が営利産業化する。
その結果、受けられる医療に格差が生じる社会となることは明らかである。
よって、我が国の優れた国民皆保険の恒久的堅持を誓い、その崩壊へと導くTPP交渉参加に断固反対する。以上、決議する。」
短い決議文ですが、強い反対意志が表されています。
そもそも、TPPとは一体どんなものでしょうか?
医療の営利産業化とは何でしょうか?
なぜ、TPPに参加すれば医療が営利産業化するのでしょうか?
そして、国民皆保険が崩壊するというのはどういう事でしょうか?
私なりに勉強した事を、次回以降、できるだけ分かり易く解説しようと思います。
次号に続く