平成24年3月1日
健康情報のウソ・ホント 第14回 マイナスイオン
インターネットで「マイナスイオン」を検索すると、瞬時に200万件以上がヒットします。テレビや新聞、雑誌などでも頻繁に取り上げられ、一時、大ブームを巻き起こしました。滝の近くや森林などで多く発生していると言われ、ストレス解消や疲労回復効果があると騒がれました。このため、人工的に発生させる事に関心が集まり、多くの「マイナスイオン発生器」が開発され、現在でも販売されています。
では、自称、マイナスイオン研究株式会社「マイ○○」のホームページを見てみましょう。一部を抜粋します。
空気中にはミクロンから分子程度の大きさの電子を帯びた微粒子が浮かんでいる。
その中で分子が10個から、100個ほど集まった大きさの粒子をイオンと呼ぶ。
そのうちマイナスに帯電しているものをマイナスイオンと呼ぶ。
大気のイオンは大気電界の強弱に大きく関係し、大気の汚染度、湿度などにも大きく影響される。
大気が汚れて湿度が高いときには、空気中にプラスイオンが多く、大気電界もプラスになる。その反対に、大気が澄み切って湿度が低く、すがすがしい状態のときは、空気中にマイナスイオンが多く、大気電界もマイナスになっている。
大気汚染物質はプラスイオンを増加させ、生体に悪影響を及ぼす。
肺から吸い込むプラスイオンは、酸素と一緒に血液中に溶け込み血液を酸性に傾け、活性酸素を増加させる。身体にプラスイオンが多く影響されるようになると、細胞膜におけるナトリウムやカリウムなどの電解質や老廃物の通過が悪くなり、栄養成分も細胞内に入りにくくなる。悪い老廃物が外に排出できなくなると身体に毒素がたまり、病気が誘発され、老化が進行する。プラスイオンは、まさにあらゆる病気の原因とも言える。
一方、大気中にたくさんのマイナスイオンがあれば、プラスイオンは中和されて少なくなる。マイナスイオンが強くなると、生体組織を構成する細胞の活性が高まり、膜を隔てての物質の輸送や交換の新陳代謝が活発になり、身体の生命力が強くなる。
そもそも、自然の中の空気のきれいな所では、気持ちが良いではないか!「生き返った気がする」という人もいるだろう。そうした感覚も、マイナスイオンの効果だ。
自然の中にはマイナスイオンがたくさんある。その中でも多いのが滝だ。
水がはじける場所にはたくさんのマイナスイオンが発生している。
特に自然界では、マイナスイオンは空気中で微細水滴が分裂するとき、水滴はプラスに帯電し、周囲の空気はマイナスに帯電する空気イオン化現象によっておきる。
これをレナード効果と呼ぶ。
以上の宣伝文句は、日本語としても文法的におかしな文章ですので、分かり易い文章に要約してみます。
「空気中に浮かぶマイナスに帯電した粒子をマイナスイオンと呼ぶ。
湿度が低く、すがすがしい状態の時は空気中にマイナスイオンが多く、これが細胞の活性を高め、生命力を強くしてくれる。
逆に、プラスイオンを肺から吸い込むと、老化が進行し、あらゆる病気の原因となる。
そして、水滴が分裂する際にマイナスイオンが発生する現象をレナード効果と呼び、この効果によって、特に滝のそばにはマイナスイオンが多く発生している」
だいたい、このような事を主張したいようです。
一見(いっけん)、科学的でもっともな事を言っているようですが、全部デタラメです。
次号へ続く