平成23年3月1日
皮膚は、サイズの大きな物質を体内に通しません。異物から人体を守るようにできているのです。コラーゲンは既に述べたように、分子量が大きい巨大分子で、皮膚からは吸収されません。「コラーゲンが浸透する」と謳(うた)う美容液はデタラメです。
コラーゲンが皮膚を覆ってシットリする事はあるかも知れませんが、直接それが真皮のコラーゲンに置き換わり美しい肌を作る事など幻想に過ぎません。
「○○リッチ 美容ジェルクリーム」などの皮膚に塗るコラーゲンで、ハリとうるおいに溢れる毎日が手に入れば苦労しません。まさしく夢見る乙女のおとぎ話です。
しかも、この製品の説明書きには5種類ものコラーゲンを含有すると何度もしつこく書いてあります。私はこの説明書きの端から端まで読みましたが、具体的に5種類のコラーゲンとは何なのか、どこにも書いてありませんでした。
誇大広告を通り越して詐欺と言わざるを得ません。
タンパク質がアミノ酸が多数結合した物である事は既に説明しました。私達の体内にあるタンパク質は約20種類のアミノ酸から構成されています。これらの内、体内で合成できるアミノ酸(非必須アミノ酸)は食事からの摂取にあまりこだわらなくても良いのですが、合成できないアミノ酸(必須アミノ酸)は食物から摂取しなければなりません。体内で必要なタンパク質を合成する際に、必須アミノ酸の内どれか1つが不足しただけでも、完全なタンパク質合成はできません。
含まれるアミノ酸の種類や量により、タンパク質の栄養価は異なります。「良質のタンパク質」という呼び方がありますが、これは必須アミノ酸の全ての種類を十分量含むタンパク質のことを意味します。具体的には、ほとんどの動物性タンパク質や大豆中のタンパク質が良質のタンパク質です。意外にも、植物性タンパク質では何種類かの必須アミノ酸が欠けていたり、量的に不足している物が多いのです。コラーゲンは、既に述べたように、必須アミノ酸であるトリプトファンを含みません。すなわち、コラーゲンは動物性タンパク質の中では例外的に良質のタンパク質ではありません。
コラーゲン商品の中で1番人気の「天使の××」は1カ月分の値段が5,040円だそうです。私なら、同じ5,000円を使うのなら、「天使の××」なんぞ買いません。その替わりに、焼き肉屋に行き、枝豆をつまみに生ビールを飲んで、特上カルビや骨付きカルビを注文しますね。枝豆もカルビも良質のタンパク質ですから、必須アミノ酸も必要十分なだけ補充できますし、第一、旨いですからね。皆さんもそう思いませんか?
コラーゲンについてのお話は今回で終了です。
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山本としこ (金曜日, 04 3月 2011 14:57)
興味深く読まさせていただきました。
なんとなく、コラーゲンに関して「眉唾」とおもっていたことが、たいへん、わかりやすく、ああやはりそうだったのかと、理解することができました。
コラーゲン賛歌に疑問を持っていて
検索していたら、こちらへたどりつきました。
学生時代「とー」と呼ばれていた者です。(ご記憶にありますかねえ?)
お元気に活躍されていらっしゃるご様子で
うれしく拝見しました。
わたくしは、4人の子育てを大方すみ、ほっとしているところです。
どうぞ、激務だと思います。お体くれぐれも、お気をつけてご活躍ください。これからも、院長の一言楽しみにしております。
山本としこ