健康情報のウソ・ホント 第1回 

世の中、猫も杓子もサプリメント


2010年11月1日

 (ちまた)には健康や病気に関する情報が(あふ)れています。テレビのコマーシャルを見ても、特に昼間の時間帯は、健康食品の広告ばかりです。当院の患者さんの中にも、テレビや新聞、週刊誌などから提供される健康情報を鵜呑(うの)みにしている方が大勢います。

医師が処方する薬を内服せずに、それより何倍も高価なサプリメントを購入している人も沢山います。

 何を隠そう、私の家内も「医者が出す薬よりサプリメントの方が大好き」人間の一人です。家内はかつて、「抗酸化サプリメント」と称する商品(1カ月分¥7,150)を3年間も飲んでいました。そして、また最近では「アナタが処方する薬より副作用が少なそうだし、お試し価格で安いから」と言って「××アミノ酸」という商品を注文する始末です。

 あるテレビ番組が「身体に良い」として取り上げた食品が爆発的に売れて、スーパーマーケットの売り場が(から)になるという馬鹿げた社会現象も起きています。

私は長い間、この様な現状に疑問を抱いていました。

最近の流行(はや)り言葉「アンチエイジング」も、やたらと耳障りで不愉快です。

 

 へそ曲がりで、流行り(すた)りには無頓着な私でも、診察の際に患者さんから「○○は本当に効くのですか?」と質問されたり、「娘が毎月△△を送ってくるから飲んでいる」と聞かされる事で、今こんな物が流行っているのか、と気がつきます。

それらの中から、しばしば耳にする物を題材に選び、世の中に流布している健康情報について私なりの考えを述べる事にします。

目的は、間違った情報に踊らされて無駄なお金を使う人を(家内も含めて)一人でも減らす事です。

 

 では、手始めに、家内がかつて3年間も飲んでいた「抗酸化サプリメント ○○オール」のサイトを覗いてみましょう。

 

 「○○オール」は肥満、癌、老化、加齢臭、糖尿病、肝臓病、高脂血症、痛風、胃潰瘍、花粉症、腎臓病、慢性閉塞性肺疾患、アルツハイマー病、心筋梗塞、脳卒中、リウマチ、白内障、アトピー、膠原病、歯周病、喘息、てんかん、自己免疫疾患、エイズ、パーキンソン病などありとあらゆる疾患に効果があり、美容にも良い。

 

 その根拠として、「『○○オール』は活性酸素抑制組成物なのだ。つまり、活性酸素を除去する作用がある SOD様抗酸化食品だということだ」と書いてあります。

 SODとはスーパーオキサイドジスムターゼという酵素で、動植物の細胞内のミトコンドリアという器官の中に存在します。この酵素はミトコンドリアにおけるエネルギー産生過程において生じるスーパーオキサイド(活性酸素の一種)という毒性物質を過酸化水素に転化する事によって、生体分子の損傷を防いでいると考えられています。

 

 しかし、「○○オール」に含まれる何という成分が「SOD様抗酸化」作用を発揮するのか、このサイトのどこを見ても書いてありません。百歩譲って、「○○オール」が高濃度のSODを含有するとしても、それを口から食べることによって万病に効能を発揮する上に美容効果もあるなどというのは荒唐無稽な発想です。第一、SODはもともと動植物の細胞内にあまねく存在する酵素であり、我々は日常的に肉や野菜から摂取しているのですから、もしSODを食べる事によって万病が予防でき、美容効果もあるのなら、地球は不老不死の美男美女で溢れかえってしまう事でしょう。

全く笑止千万でアホらしい話です。

 1カ月分で7,150円ですから、「○○オール」を3年間飲むと 7,150×12×3=257,400円です。家内は何と25万円以上もドブに捨てた事になります。25万円もあれば、私が今、喉から手が出るほど欲しい最新型のゴルフクラブ(ドライバー)が軽く買えます。

ああ、もったいない!

 

 大衆の美容・健康を追究する心理につけ込み、不安に(おとしい)れる。専門的な言葉を随所に散りばめた一見科学的な、しかし実際は全く非科学的な詐欺まがいの広告を用いて、高額の商品を売りつける。そんなアコギな商売が、私には許せないのです。

読者の皆さんが無益で高額な買い物をしないように、また、もし既に買っているとしたら考え直すために、当欄がお役に立てば幸いです。

 

 次回から順に取り上げるテーマは、コラーゲン、コンドロイチン、ヒアルロン酸、グルコサミン、コエンザイムQ10、マイナスイオンの予定です。

 

 インフルエンザ予防接種の予診票は当院受付にてお配りしている他、本サイトからもダウンロードできます。予め記入後お持ち下さい。

  ただし、「65歳以上の藤沢市民」は、インフルエンザ・コロナワクチン共に、当院にて専用の予診票に記入して頂く必要があります。ダウンロードはできません。

お知らせ

8月13日(火)、14日(水)、15日(木)の3日間、夏期休診させて頂きます。

Message from the Directorを更新しました(Jul 1, 2024)。 

令和6年4月以降、発熱など風邪症状がある方も、電話連絡等は不要となりました。

令和6年3月14日(木)、21日(木)、28日(木)の各木曜日休診します。

4月以降も、毎週木曜日休診します。

3月7日(木)臨時休診します。

2月28日(水)から3月5日(火)まで臨時休診します。3月6日(水)から診療再開します。

令和6年4月より、毎週木曜日、休診します。

1月25日(木)は通常通り診療します。

2月1日(木)は急用のため、休診いたします。

急用のため、1月18日(木)休診いたします。

 

急用のため、1月11日(木)休診いたします。

 

令和5年12月29日より翌1月3日まで休診します。ただし、1月2日は藤沢市休日当番医のため、午前9時から午後5時まで、急病・外傷患者さんの診療を行います。