2009年8月1日
いよいよ、今月の30日が投票日と決まりました。
公的医療保険で十分な医療サービスが受けられる状況下に於いては、誰もがこれを利用して医療を受けます。従って、民間の保険が成り立つためには、公的医療保険で受けられる医療を量的に制限するか、もしくは質的に低いものにしなければならないのです。
その具体的な手段として、①新規に開発された制癌剤を保険収載しない、②風邪薬、胃薬、軟膏、湿布薬等を保険薬から除外する、③患者自己負担割合を引き上げて受診を抑制する、④診療報酬を引き下げて医療機関を経営破綻に追い込み病床数を削減する、⑤医師数を抑制する、等々の考えられる限りの有りとあらゆる卑劣な改悪が行われてきたのです。しかも、政府はこれらの改悪政策に、「改革」だの「医療費の適正化」だのといったお為ごかしの美名を付して、国民を欺いてきました。
本来なら公的医療保険で扱うべき医療を制限・縮小し、自由診療に移し替えてしまえば、民間の保険産業が参入する余地が拡大します。つまり、所得に余裕の ある人々は、民間の医療保険に加入して、上乗せ部分の高度な医療技術を享受したり、入院・手術等の不測の事態に備えるようになります。以前は商売の対象に
ならなかった医療分野が営利を産む市場へと変貌し、金儲けをしようと企む企業が次々と参入してくる時代となったのです。すなわち、政府やその片棒を担いで 医療に参入した株式会社達は、国民のためではなく、自分達の利益のために公的医療保険制度を改悪・破壊したのです。小泉内閣が推進した「規制改革」とは、
医療に市場原理を導入し、国民の命と健康を守る医療制度を営利目的の制度に作り変えてしまうものだったのです。その結果、所得の低い人達は、最初から上乗 せ部分の医療をあきらめざるを得ません。また、既に疾病に罹患していて医療を利用する機会の多い事が予想される人達は、保険料増額や加入制限等により民間
医療保険から敬遠されたり排除されたりする危険性が高くなります。分かり易く言い換えるなら、お金のある人は良い医療が受けられますが、お金のない人は医 療から遠ざけられてしまうのです。貧富の差が命を左右するようになったのです。
全ての国民がいつでも、どこでも、最適な医療が受けられる公的な医療保険制度が、小泉「構造改革」によって、破壊され続けてきました。破壊されたのは医 療保険制度だけではありません。2000年(平成12年)に創設された介護保険制度も、2003年、2006年と2度に渡って介護報酬削減等の改悪が行わ
れました。そして、本年4月には3度目の改悪が行われ、保険料の値上げや利用サービスの制限が断行され、今や「保険有って制度無し」と言われる有様です。
皆さん、まだ記憶に新しい2005年(平成17年)夏の衆議院解散・総選挙を思い出して下さい。この選挙では、小泉純一郎が声高らかに「改革」を連呼 し、少しでも異を唱える人々には「抵抗勢力」の烙印を押して一刀両断に切り捨てました。そして、「改革」「民営化」という如何にも耳障りの良い言葉に惑わ
された多くの国民が、過大な期待を寄せて自民党を大勝させてしまいました。しかし、残念ながら、国民の期待は裏切られ続けました。その後の4年間における 日本の凋落ぶりには目を覆うばかりです。
坂を転げ落ち、奈落の底で、もがいています。
今回の解散・総選挙はこの様な閉塞的状況を打開する絶好の機会です。
「構造改革」路線と決別し、国民生活を何よりも優先する政党はどこか?
患者・医療担当者の双方が安心出来る社会保障制度を確立する事に身命を賭してくれる政治家は誰か?
じっくりと見極めたいものです。
私達の一票がこの国の命運を決めるのです。
8月30日は是非、投票に行きましょう。