これで良いのか!? 日本の医療 第4弾

2008年12月1日

 今回は、東京都立墨東(ぼくとう)病院で起きた妊婦死亡問題について書きます。
私も研修医時代に、墨東病院の麻酔科と心臓血管外科で計1年間、学ばせて頂きましたので、他人事とは思えません。
既に事件から2カ月が経過しましたので、記憶が薄くなっている方も多いでしょう。
まず、概略を述べます。


 10月4日(土)夕刻、激しい頭痛と嘔気を訴えた都内の妊婦(36歳)が東京都江東区のかかりつけ産婦人科医院に搬送されました。緊急事態と判断した医師は墨東病院(墨田区)に受け入れを要請しました。
墨東病院は、緊急処置の必要な母子を24時間受け入れる「総合周産期母子医療センター」として東京都が指定した9病院の1つで、近隣(墨田区、江東区、江 戸川区)の産科医療の拠点病院です。しかし、近年、常勤の産科医が次々と退職して、5年前からは定数の9人を下回るようになっていたのです。本年6月末に さらに1人が退職して、とうとう常勤産科医がたったの3人となってしまったため、7月以降は本来平日と同様に2人体制だった土日・祝日の当直医を1人に減 らさざるを得なくなり、関係機関に対し「土日・祝日は1人当直である上に、研修医が当直する場合もあるので、ハイリスク分娩への対応は困難」と文書で通達 していました。10月4日はまさしくこの「土日の1人当直」の夜で、当直医は研修医1人のみでしたので、緊急要請を断りました。その後、東大病院(文京 区)、慶応大病院(新宿区)、東京慈恵会医大病院(港区)、日大板橋病院(板橋区)、日赤医療センター(渋谷区)、順天堂大病院(文京区)、東京慈恵会医 大青戸病院(葛飾区)といった国内でも屈指の大規模病院計7つが次々に診療を拒んだのです。この内、日大板橋病院と日赤医療センターも「総合周産期母子医 療センター」に指定されています。結局、墨東病院を含めた8つの病院から受け入れを断られた挙げ句、医院からの再度の要請を受け入れた墨東病院に妊婦が搬 送されたのは最初の要請から1時間20分後でした。墨東病院では、既に帰宅していた産科部長が呼び出されて帝王切開術を行い男児を無事取り上げた後、脳外 科の当直医が脳内出血に対して緊急手術を行いましたが、母親は意識不明のまま3日後に亡くなりました。

 この事態に対し、舛添要一・厚生労働大臣は「医師不足の現状の中で、医師同士のコミュニケーションが上手く機能しなかった。IT技術を活用して医療機関 の連携を充実させたい」と発言しています。これは、一見、的を射たコメントのように思えますが、実は問題の表面しか捉えていません。二階俊博・経済産業大 臣に至っては、「何よりも医者のモラルの問題だ。忙しいだの、人が足りないだのというのは言い訳に過ぎない」と、全く的はずれで医療現場の実態に無知な、 閣僚として不適格極まりない発言をしています。二階大臣は後にこの愚かな発言を撤回しましたが、劣悪な状況下で献身的に奮闘している全国の産婦人科医を愚 弄した事実には弁解の余地がありません。

  医療機関の連携や医師のモラルをやり玉に挙げ、受け入れを拒否した病院の批判に終始しているだけでは、今後も同様の悲劇が日本の各地で繰り返される事でしょう。
日本の周産期医療は崩壊寸前であり、その本質的な原因は次の2点に集約出来ます。
1.国の社会保障費削減政策  2.増加する医療訴訟
次回以降、この2点について、意見を述べます。

お知らせ

平成30年8月13日(月)から16日(木)まで休診致します。

年末年始は12/29から1/3まで休診します。

1/4(木)から通常通り診療します(平成29年12月25日)。

10月1日よりインフルエンザ予防接種を行っています。今年は、ワクチンの生産量が例年より少ないため、早めの接種をお勧めします(平成29年10月12日)。

 

8/6(日)~20(日)の間、休診します。

常時、防犯警備システムが作動していますから、カルテ等の管理は万全です(平成29年7月23日)。

ゴールデンウィーク期間中の診療日はカレンダー通りです。5月1,2,6日は平常通り診療します(平成29年5月1日)。

平成28年8月11日(木)から16日(火)まで夏休み(休診)とさせて頂きます。