当院は今月18日で開業満22年になりました。
おかげ様で、来院患者数は28,000人を超えました。
この「院長挨拶」も、今回で15回目です。
今年の出来事で、特に私が気になっている3つの件について、意見を述べます。
1.新型コロナウィルス
新型コロナウィルスに関しては、一昨年、昨年と2回続けて、この「院長挨拶」欄で私の考えを詳しく書きましたので、今回は短く述べます。
ようやく、第7波が鎮静しつつありますが、相変わらずニュース番組や新聞で連日、感染者数が報道されています。
感染症ですから、今後も永久に、感染者数が増減します。
国はいつまで、この大騒ぎを続けるつもりなのでしょう?
相変わらず、国は新型コロナを「指定感染症」の中でも、一類感染症より厳しい措置を必要とする「新型インフルエンザ等感染症」というグループから外そうとしません。
致死率0.1%の新型コロナを、致死率50%のエボラ出血熱やペストより厳しい措置を必要とする感染症に、指定したままにしているのです。
その結果、新型コロナと診断された患者は全員、入院を勧告される決まりになっています。
病院は致死率50%の感染症と同じ扱いをしなければなりませんから、コロナ患者を入院させるには、厳密に隔離されたコロナ病床を設ける必要があります。
限られたコロナ病床はすぐに埋まってしまうので、今では、原則としてホテルや自宅での療養を指示するようになったのです。
しかも、コロナ病床を設けるためには、一般の病床を減らさなければならず、医師や看護婦もコロナ病床に回さなければなりません。
そのため、新型コロナ患者以外の入院患者を治療する人員や病床が足りなくなります。
これが「医療崩壊」の原因です。
だから、新型コロナを季節性インフルエンザと同じ五類感染症に「格下げ」すれば、医療がひっ迫しなくなります。
新型コロナは風邪やインフルエンザと同じ致死率なのですから、同じ扱いにすれば良いだけのことです。
そうすれば、どこの医院・病院でもコロナを診断・治療することができます。
保健所にいちいち届ける必要もなく、外来で治療困難な重症例だけ、入院させれば良いのです。
岸田首相は一刻も早く、新型コロナの格下げを決断するべきです。
2.ロシアのウクライナ侵攻
今年2月から始まったロシアのウクライナ侵攻は、7ヶ月経った現在も続いており、終わりが見えません。
ロシアはウクライナの国民を虫けらのように殺害し、何千発ものミサイルを打ち込んで都市を破壊し、領土を占領して主権を奪おうとしています。
この蛮行を、世界は決して許してはいけません。
アメリカを中心とする北大西洋条約機構(NATO)がもっと本気でウクライナに肩入れしてくれれば良いのですが、プーチン大統領が核兵器の使用を示唆したため、遠慮しているのでしょう。
自らをロシア帝国初代皇帝のピョートル大帝(18世紀)になぞらえる、時代錯誤のプーチンが停戦に応じるとは思えません。
思い上がった狂人に神の鉄槌が下されるのを願うばかりです。
私は、ロシアの暴挙を静観している中国が、いつか台湾を侵攻するのではないかと危惧します。
北朝鮮も相変わらず、ミサイルを飛ばし続けています。
ウクライナが核兵器を手放さなければ、ロシアから攻撃されなかった筈です。
我が国は自らを守るために核武装するべきではないかと、私は思います。
3.安倍晋三元首相の銃撃死
今年7月、街頭演説中の安倍晋三元首相が、多くの聴衆の前で手製の銃で撃たれ死亡した事件は、日本中を震撼させました。
犯人の山上容疑者は、母親が破産するきっかけとなった旧統一教会を国内で広めたのが安倍氏だったと考え、安倍氏を狙ったと供述しています。
事件後、旧統一教会と政治家との関係に注目が集まっています。
そして、複数の政治家に旧統一教会との接点があったことが明らかになりつつあります。
具体的には旧統一教会のイベントに出席したり、講演を頼まれたり、選挙協力を受けたなどで、その多くが自民党所属の議員です。
これを受けて、自民党の茂木敏充幹事長は記者会見で「重く受け止め、率直に反省している。今後は教団との関係は一切もたない」と述べ、地方議員にも遵守させる考えを示しました。そして、党の方針に従わなかった議員については「同じ党では行動できない」とさえ述べました。
確かに、旧統一教会には霊感商法や多額の献金強要など、多くの問題があるようです。
だからといって、「旧統一教会は悪だ、排除しろ」と政治家に強制してはいけないと思います。
オウム真理教は何人もの人を誘拐し、殺害し、挙げ句の果てに地下鉄サリン事件で大勢の人々を死傷させました。
その結果、法務省の外局である公安調査庁から反社会団体と認定され、宗教法人を剥脱され、解散しました。
しかし、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)は、れっきとした宗教法人ですし、反社会団体と認定されてもいません。
私は仏教徒(曹洞宗)で、旧統一教会の信者ではありませんが、政治家に「教団と一切関係を持つな」「事務所で信者を働かせるな」と命令するのは、信教の自由に反し、人権蹂躙でもあると思います。
そもそも、安倍元首相を殺したのは山上容疑者であって、旧統一教会ではありません。