平成29年4月1日
今回から、タバコに関する私の考えを述べます。
平成22年4月、全国初の受動喫煙防止条例が神奈川県で施行されました。
当時の県知事・松沢成文(しげふみ)氏が心血(しんけつ)を注ぎ、他の都道府県に先がけ、日本で初めての条例を制定しました。
屋内での喫煙を規制するためです。
神奈川県受動喫煙防止条例の主な内容は以下の通りです。
1.公共性が高い学校や病院などを「第1種施設」と定め、禁煙を義務づける。
2.大規模な飲食店(床面積100平方メートル超)や宿泊施設(床面積700平方 メートル超)などを「第2種施設」と定め、禁煙か分煙かを選択させる。
3.小規模な飲食店や宿泊施設、パチンコ店などを「特例第2種施設」と定め、 禁煙か分煙かを選ぶ事を努力義務とする。
4.罰則として、禁煙施設でタバコを吸った個人には2,000円の罰金、施設管理者 には2万円の罰金をそれぞれ科す。
この条例には、屋内完全禁煙という観点からは不十分な点が多々あります。
特に私が問題だと思うのは、以下の点です。
すなわち、大規模な飲食店・宿泊施設に許された「分煙」とは、排煙設備を備えた「喫煙区域」を設け、それを完全に仕切りで被(おお)い、さらに、「喫煙禁止区域」に流出しないようにしながら、タバコの煙を屋外に排出する事を意味します。
このような大々的な内装工事には莫大(ばくだい)な費用を要し、個人経営では極(きわ)めて実行困難です。
そのため、空気清浄機や隙間(すきま)の空(あ)いた間仕切(まじき)りを設置するだけの、いい加減な「分煙」でお茶を濁している店舗が多いのが現状なのです。
後ほど述べますが、空気清浄機はタバコの煙を排除するのには何の役にも立ちません。
隙間の空いた間仕切りが防煙にならないのも、言うまでもありません。
WHO(世界保健機関)も「完全禁煙のみが受動喫煙を防ぐ唯一の方法である」と結論づけています。
また、「分煙」を認めてしまうと、JT(日本たばこ産業株式会社)の「喫煙マナー向上によって喫煙者と非喫煙者が共存できる社会を実現する」などという間違ったキャンペーンに加担する事にもなります。
そもそも、健康に有害なタバコを、成人なら誰でも買う事ができる、という事自体が問題なのです。
喫煙者と非喫煙者が共存する事など不可能です。
正論を言えば、日本からタバコがなくなる事が理想です。
当然、日本は喫煙者ゼロになるべきです。
断(ことわ)っておきますが、私はJTの存在を否定してはいません。
JTはタバコ事業から完全に撤退し、現在も行っている医薬・飲料・加工食品などの事業に注力すれば良いだけの話です。
次号へ続く