平成23年1月1日
明けましておめでとうございます。今年も、読んで面白い情報を発信します。
コラーゲンを構成するポリペプチド鎖はおよそ1,000個のアミノ酸から成り、分子量は約
10万です。多くの型のコラーゲンでは、このポリペプチド鎖が3本集まり、縄をなうようにお互いに巻きついて、3重らせん構造を形成しています。これがコラーゲンの構成単位であり、トロポコラーゲンと呼ばれます。このトロポコラーゲンが、少しずつずれてたくさん集まり、より太く長い繊維を作る場合があり、これはコラーゲン細繊維(細線維)
と呼ばれます。例えば、骨や軟骨の中のコラーゲンはコラーゲン細繊維の状態で存在し、骨基質、軟骨基質にはコラーゲン細繊維が詰まっています。
コラーゲン細繊維は、更に多くが寄り集まって、強大な繊維を形成する場合があり、これがコラーゲン繊維(線維)(膠原(こうげん)繊維(線維))です。コラーゲン繊維は皮膚の真皮や腱などにびっしりと詰まっています。関節リウマチなどの膠原病は、コラーゲン(膠原)に変性が見られる事からこの様な名称になったのです。
ヒトのコラーゲンタンパク質は30種類以上あることが判っています。それぞれのコラーゲンは、I型、II型のようにローマ数字を使って区別されます。体内で最も豊富に存在しているのはI型コラーゲンです。骨に大量に含まれ、骨に弾力性を持たせる働きをしています。また、皮膚の真皮にも非常に多く、皮膚の強さを生み出す働きがあります。その他、靱帯、腱でもI型コラーゲンが主成分です。II型コラーゲンは関節軟骨の主な構成要素です。また、すべての上皮組織の裏打ち構造である基底膜にはIV型コラーゲンが主に含まれています。いずれにせよ、コラーゲンは繊維状の高分子であり、水には溶けません。「天使の××」の水に溶けやすいフィッシュコラーゲンという宣伝文句はデタラメです。
もちろん、フィッシュコラーゲンなどという名称は存在しません。
コラーゲンに限らず、生体組織のタンパク質は代謝回転しています。わかり易く言えば、分解と合成を繰り返しているのです。そして、タンパク質の構成要素であるアミノ酸が別のアミノ酸に置き換わってしまうという誤りが3,000個に1個の割合で起きていると考えられています。このタンパク質生合成(せいごうせい)の過程における誤りの頻度は、加齢と共に増加し、ついには生じたタンパク質分子が機能不全に陥るのです。これが老化現象です。(生合成とは、生体がその構成成分である生体分子を作り出す事です。)
口から摂取されたタンパク質は、プロテアーゼという分解酵素によってポリペプチド鎖が切断され、アミノ酸分子が2-3個結合しただけのオリゴペプチドと呼ばれる低分子物質に分解されます。これが小腸粘膜の上皮細胞に取り込まれ、別の分解酵素によって単独のアミノ酸にまで分解され吸収されます。
つまり、コラーゲンそのままの状態で消化管から吸収されるのではないのです。
次号へ続く