平成30年4月1日
引き続き、タバコ規制枠組み条約の主要条文を見ていきます。
第11条 タバコ製品の包装とラベルの警告表示を強化する。
タバコの包装及びラベルに、虚偽(きょぎ)の、詐欺(さぎ)的な用語や名称を表示してはいけません。
昨年12月号で述べたように、「低タール」、「ライト」、「ウルトラライト」などと消費者を騙(だま)してはいけないのです。
この点でもJTは条約違反を犯しています。
タバコ箱の表示面の50%以上の面積に、喫煙による有害な影響に関する警告を、明瞭に表示しなければなりません。
日本のタバコ箱に記載されている警告文は、字が小さく、表示面積も50%以上ではありません。
内容も、「人により程度は異なりますが、ニコチンにより喫煙への依存が生じます」などという曖昧(あいまい)な表現で、お茶を濁(にご)しています。
「喫煙は死を招く」などのストレートな表現がなく、写真による警告表示も皆無(かいむ)です。
日本の警告表示は条約を遵守(じゅんしゅ)していないのです。
アメリカのタバコ「マールボロ」の箱には、太く大きな黒い字で"Smoking kills"(喫煙はあなたを殺す)と書かれています。
また、タイのタバコには、喉頭(こうとう)癌の手術を受けた患者の患部写真が印刷されています。
第12条 タバコの害について教育する。
締約(ていやく)国は、すべての利用可能な手段を用いて、タバコの煙が及ぼす危険と、禁煙がもたらす利益について、啓発(けいはつ)しなければなりません。
そして、タバコを規制する政策を実施しなければなりません。
喫煙の"denormalization"(デノーマライゼーション)(「正常ではない」という考えを普及する事)が必要なのです。
日本政府は、タバコ規制に重点を置いた社会基盤作りや国民への啓蒙(けいもう)を、ほとんど行っていません。
JTがどれほど狡猾(こうかつ)にタバコの害を隠し、消費者を欺(あざむ)いてきたか、についても沈黙しています。
JTと一体になった日本政府の、「法に基づいた規制を避けたい」「なるべく何もしないで済ませよう」という態度は、多くの国から非難されています。
タバコ規制枠組み条約の締約国会議で、日本代表は"denormalization"という用語の変更を執拗(しつよう)に求め、参加各国の失笑(しっしょう)を買いました。
もちろん、日本の愚(おろ)かな主張は認められませんでした。
次号に続く