平成23年8月1日
コンドロイチン、ヒアルロン酸、グルコサミン(続き)
コンドロイチンとヒアルロン酸は、共に酸性ムコ多糖と呼ばれる化合物の1種です。
酸性ムコ多糖とは、2種類の糖(単糖)が交互に直列に延々と連なった構造をしている化合物の1群であり、糖が沢山つながっているので多糖というのです。
コンドロイチンはグルクロン酸とガラクトサミンという2種類の糖が交互に連なった構造をしており、ヒアルロン酸はグルクロン酸とグルコサミンという2種類の糖が交互に連なった構造をしています。すなわち、ヒアルロン酸は、コンドロイチンを構成する2種類の糖のうちガラクトサミンがグルコサミンに置き換わっているだけで、コンドロイチンと極めて似た構造をしています。
コンドロイチンやヒアルロン酸の分子を構成する最小単位である、くり返し2糖(コンドロイチンではグルクロン酸とガラクトサミン、ヒアルロン酸ではグルクロン酸とグルコサミン)の分子量は共に約400で、コンドロイチンもヒアルロン酸もこの2糖が10,000回以上繰り返しつながっています。
従って、コンドロイチンもヒアルロン酸も共に分子量は約400万と巨大です。
一般に分子量が10,000以上の化合物を高分子化合物と呼び、分子量が数100以下のものを低分子化合物と呼びます。当然、コンドロイチンとヒアルロン酸は共に高分子化合物です。低分子のヒアルロン酸などという物はこの世に存在しません。
ですから、「ヒアルロン酸を低分子化することに成功した」という「飲むヒアルロン酸△△」の宣伝文句は全くのデタラメです。
体内に存在する酸性ムコ多糖の中で、最も豊富に存在するのはヒアルロン酸です。
ヒアルロン酸の主な存在場所は細胞外基質、関節の滑液などです。
ヒアルロン酸が水に溶けた水溶液は粘稠度が高く、潤滑油の働きをします。
体内に存在する酸性ムコ多糖の中でヒアルロン酸に次いで2番目に多いのがコンドロイチンです。コンドロイチンそのものは細胞外基質の少数成分に過ぎませんが、コンドロイチンと硫酸との結合物であるコンドロイチン4-硫酸(コンドロイチンA)とコンドロイチン6-硫酸(コンドロイチンC)は軟骨などの主な構成成分です。
コンドロイチンAとコンドロイチンCは軟骨などの組織中においてかなりのスピードで分解と合成を繰り返しています。具体的に言うと、軟骨中のコンドロイチンAやCは、数日から数週間で分解され、新しいコンドロイチンAやCに置き換わっています。
そして、この分解と合成のスピードのバランスが崩れると(合成のスピードが分解のスピードより遅くなると)、組織中のコンドロイチンAやCの量が減ってきます。
これは老化現象の1つです。変形性関節症において「軟骨がすり減る」と言われる現象の実態がこれです。
老化によりコンドロイチンAやCの分解と合成のスピードのバランスが崩れると、組織中のコンドロイチンAやCの量が減ってきます。
年齢と共に合成のスピードが遅くなりはしますが、ゼロになる訳ではありません。
「コンドロイチン○○錠」の「コンドロイチンは50代になる頃にはほとんど生産されなくなってしまいます。」という表現は誇張です。
次号へ続く